香西寺の毘沙門天像
上品さの中に動きのある像

住所
高松市香西西町211
訪問日
2015年7月25日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
高松駅からJR予讃線で1駅、香西(こうざい)駅から北東に徒歩約25分。または高松駅からことでんバス下笠井線または香西線で「中塚」下車、西へすぐ。
毘沙門天像の拝観は事前予約が必要。
拝観料
1000円
お寺や仏像のいわれなど
香西寺は真言宗の寺院。
このお寺の西南に勝賀山というお寺があり、古代の寺院跡がみつかっているが、これが香西寺の前身ではないかといわれる。
鎌倉時代、この地域の豪族・香西氏によって再興され、香西寺と名付けられたという。
仏師の西村公朝が仏像修理のために滞在したことがある。ただしこの寺に伝わる仏像のためではなく、近在のさまざまな寺院の像の修理のためであったとのこと。
拝観の環境
毘沙門堂は、本堂に向かって右。毘沙門天像はお堂の奥に接続した耐火スペースの厨子中に安置され、ライトもあり、よく拝観できる。
仏像の印象
像高は約1メートル、一木造。平安時代の作。
おとなしい印象の像である。そう感じるのは手を大きく振りかぶるような動作をせずに胸、腰のあたりで前に差し出しているところや、鎧や袖口によくある獣や鬼の模様を取り付けていないところと思う。全体的に誇張を避けた堅実な姿が追求されていて、上品な姿である。
しかし腰はかなりひねりが加えられ、そのために股間を守る前垂れも斜めになるなど、静的な中にも動きがある。
顔は小さめで全体のプロポーションがよい。また目は大きく見開き、上まぶたのラインも強調され、眉も太く強調するなど、細部にも魅力がある。
ほぼ素地をあらわすが、下半身の裳には花模様の名残りを見ることができ、かつての華やかな姿がしのばれる。

その他(弘憲寺の仏像)
JR高松駅から西へ徒歩10分強のところに真言宗の弘憲寺がある。
駅の南で瀬戸大橋通りという太い道路を越え、さらに150メートルほど南下し、今度は600メートルくらい西へ進むと門前に出る。
前身となる寺院があり、奈良時代以来の古刹だったというが、今の地に弘憲寺が建てられたのは桃山時代に生駒氏が讃岐の国主となって以来のことである。
境内の中央には、戦後まもなく立てられた石造りの塔があり、平和塔と名付けられている。その奥に建つ本堂は日中であれば自由に堂内で拝観できる。本尊は秘仏の不動三尊像で、年に3回、1月・5月・9月の27日に開扉されているそうだ。
本尊の厨子に向かって左側に壇上に地蔵菩薩像が安置されている。
像高は1メートル弱の立像。割矧ぎ造で、平安時代後~末期の作。
円頂部を豊かにあたわし、伏し目がちな目、小ぶりな口もと、なで肩、穏やかな衣の表現など、気品と優しさがある像である。
さらに知りたい時は…
『高松の文化財』(『高松市の文化財』14)、高松市歴史民俗協会、1992年
『香川県の文化財』、香川県教育委員会、1971年