金龍院の不動像・千手観音像
平安期地方仏の魅力
住所
伊豆市大平748
訪問日
2006年11月3日、 2019年4月14日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
金龍院は修善寺駅の南、4キロほどのところにある。
駅から湯ケ島温泉、昭和の森、河津駅方面行きバス(東海バス、1時間に2〜3本程度運行)でおよそ10分、バス停「旭滝口」で下車、そこから西の方へと上がったところである。
ご住職がいらっしゃれば拝観できる。前もってお電話をいれておくとよい。
拝観料
志納
仏像のいわれ
お寺の北側にバス停名にもなっている旭滝がある。水量こそ多くはないが、高低があり、何段にもなって落ちてくるみごとな滝である。そのもとにかつて龍源寺というお寺があり、虚無僧の普化宗という宗派であったそうだ。そのお寺が近代に廃寺となり、まつられていた千手観音像と不動明王像は、一時期は地元の方の管理になっていたこともあったそうだが、今はこの金龍院に客仏として安置されている。
拝観の環境
本堂内、向かって右の脇の間に安置され、間近で拝観させていただける。
仏像の印象
2体とも小ぶりな仏像で、不動明王は像高約70センチの坐像、千手観音は像高約110センチの立像である。共にヒノキの一木造で、内ぐりも施されていない。
鎌倉期に慶派や宋風の波がやってくる以前のこの地方の造像であり、洗練させていないが個性があり、見ていると離れがたい。
不動明王像は胸は厚く、上腕はたくましい。右の肘をよく張って緊張感があり、目は大きく見開く。しかし中央からわけたたっぷりの髪やくちびるの曲線、弁髪など、親しみを感じさせる。
千手観音像は怒り肩で、目は控えめな見開きだが、まぶたをふっくらとあらわす。くちびるも生き生きとした表情を見せる。
さらに知りたい時は…
「ほっとけない仏たち79 金龍院の不動明王・千手観音」(『目の眼』550)、青木淳、2022年7月
『伊豆の平安仏』(展覧会図録)、上原美術館、2018年
『伊豆市の文化財』、伊豆市教育委員会、2006年
『静岡県の仏像めぐり』、静岡新聞社、2005年