海福寺の十一面観音像
かつては秘仏、御前崎の人々の信仰を集めてきた像
住所
御前崎市御前崎4434
訪問日
2007年12月2日
拝観までの道
海福寺は、静岡と浜松の間、太平洋に突き出た御前崎にある。
東海道線の菊川駅バス乗り場から、しずてつジャストラインのバス御前崎線にて浜岡営業所で乗り替え、御前崎市自主運行バス(御前崎市内線)にて「御前崎小学校前」で下車、徒歩数分である。
「御前崎小学校前」バス停から来た方へ数十メートル戻り、信号を右折。道は下り坂でまもなく左側に海福寺がある。坂の先には御前崎港が見えている。
ほかの行き方としては、静岡駅前から相良営業所行きバス(特急静岡相良線)に乗車、「相良本通」で御前崎市自主運行バス(相良御前崎線)に乗り換えるという方法もある。
拝観は、法事等が入っているときにはできないということで、事前の連絡が必要である。
拝観料
志納
仏像のいわれ
本堂から位牌堂に続く廊下の一角に安置されている十一面観音立像は、平安時代後期の作。
海福寺よりもさらに御前崎の突端に近くに、かつて遍照院というお寺があった。バスの終点、「御前崎海洋センター」から数百メートル東にある駒形神社に隣接する場所という。海福寺の十一面観音像は、もとは遍照院の観音堂に秘仏としてまつられていた。21年に一度、21日間ご開帳するならわしであり、住職の手によってわずか2〜3寸開扉されたという記録がある。
しかし、近代に入り遍照院は廃絶、観音堂だけが残り、近くの海福寺の管理とされた。小さいがきれいなお堂だったというが、その堂も老朽化と台風による打撃のために近年とりこわしとなり、仏像は海福寺に移された。
拝観の環境
お寺の方がとても親切に案内くださる。
像は廊下の明るいところに安置され、近寄って拝観することができる。
厨子の中に安置され、側面からは拝観できない。また。前面には透明のシートが垂らされているので、真っ正面からは反射でやや見づらい上に、前の机で下半身が見えにくいが、角度を変えながらじっくりと拝観させていただくと、お像のようすがよくわかる。
仏像の印象
像高約140センチ、クスノキの一木造の立像で、左手、天衣の垂下部、持物と頭上面のうちのいくつかは後補であるが、全体に保存状態はよい。
面相は柔和で、切れ長の目、なで肩、浅いが丁寧な彫りの衣の襞(ひだ)など、魅力的である。手の長さや膝から下がやや短く、そのため親しみやすいというか、可愛らしく感じられる。正面からと斜め下からでは表情が変わり、いつまでも拝観していたい気持ちになる像である。
さらに知りたい時は…
『静岡県の文化財ー彫刻』、静岡県教育委員会文化財課、1978年