天神神社の大日如来像
「神明様」として信仰されてきた大日如来
住所
下田市蓮台寺352
訪問日
2008年4月20日、 2018年1月1日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
伊豆急線の終点伊豆急下田駅のひとつ手前が蓮台寺駅である。そこから西へ徒歩20分のところに天神神社はある。
駅前の道を西へまっすぐ、突き当たったら左へ、稲生沢小学校の角を右折し、その後は直進する。何軒か温泉旅館を過ぎると、右に「重要文化財 大日如来像」という標識がある。その脇の急な石段を上がったところが天神神社である。
バスを使う場合は、下田駅から東海バス大沢口行きで「天神下」バス停下車であるが、本数は1時間に1本程度。
以前はいつでもガラス越しに拝観可能だったが、2017年に像の修理が行われ、それ以後は正月や例大祭などの時に限って開扉することとなった。問い合わせは下田市観光協会へ。
拝観料
とくに拝観料等の設定はなかった。
仏像のいわれ
このあたりに古代創建の真言宗の古刹・蓮台寺があったという。その遺宝である大日如来像は、鎌倉時代前期にこの寺が廃絶したのちは丘の小堂に安置され、「神明様」として村人の信仰を集めてきたと伝える。神仏混淆の信仰のなかに守られてきた像であり、今も天神神社境内の収蔵庫に安置されている。
拝観の環境
仏像の修理とともに収蔵庫の改築が行われ、照明等改善されて、ガラス越しながら見やすくなった。
仏像の印象
像高は約110センチの坐像で、ヒノキの寄木造。彫眼。智拳印を結んでいる金剛界大日如来像である。
鎌倉時代の作。張りのある大きな丸顔が印象的である。鼻筋がよく通った華やかな顔つきである。まげは大きく結う。上半身は高く、引き締まった体躯。組んだ足の裏が肉厚で豊かな肉体表現が見てとれる。
大日如来は密教の仏の中心であるが、堂々と座る姿はまさに仏の中の仏という感じがする。
冠や飾りは後補。
その他
収蔵庫にはほかに四天王像も安置される。持国天、多聞天と伝えられている像は、像高約130センチ、古様で平安時代にさかのぼる可能性があるが、厚い彩色に覆われていた。他の二天は像高も小さく、近世の作と推定されている。
こちらも修復が行われており、筆者が訪れた2018年1月にはまだお戻りでなかった。
さらに知りたい時は…
『伊豆仏に出逢う』(展覧会図録)、上原美術館、2024年
「伊豆の仏像を巡る」15(『伊豆新聞』2012年9月15日)、田島整
『大日如来像』(『日本の美術』374)、山本勉、至文堂、1997年
『伊豆の仏像 南部編』、上原仏教美術館、1992年