常念寺の阿弥陀如来像
京都から運ばれてきた仏像
住所
むつ市田名部町4-8
訪問日
2009年6月7日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
最寄り駅は大湊線の下北駅で、徒歩40分くらい。駅前にタクシーが常駐していて、1000円前後の料金で着く。
お寺のある田名部(たなぶ)地区はむつ市の中心部で、江戸時代には南部藩の代官所が置かれていた。近くには下北交通のバスターミナルがあり、青森や野辺地へのバスが発着しているので、常念寺へは鉄道よりもバス利用の方が便利かもしれない。
拝観には事前の連絡が必要。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれ
常念寺は浄土宗の寺院で、創建は16世紀末。
17世紀後半の火事で焼け、再建の際に京都・清浄華院(しょうじょうけいん、京都御所の東側にあり、浄土宗の大本山のひとつ)の仏像を移坐して本尊としたと伝える。
拝観の環境
内陣は照明があり、すぐそばで大変よく拝観できる。
仏像の印象
像高は90センチ弱の坐像で、平安時代後・末期の定朝様式の仏像である。
肉髻は大きく、半球形のよう。螺髪は小粒で、よく揃い、美しい。目は切れ長で、鼻筋はよく通る。頬は引き締まっているが、後世に若干補修を受けている可能性もある。
上半身は堂々として、脚部は高さはそれほどではないが、左右への張りはしっかりとり、安定感がよい。こうした特色は典型的な定朝様式のものである。手は定印を結び、腕はすらりとは伸びない感じである。
衣の襞(ひだ)は優美に流れているが、定朝様の仏像としては比較的彫りが深く、一部に翻波式の名残りのように大きな波の間に小さな波が刻まれているのは面白い。
その他
光背、台座、および両脇侍は江戸時代のもの。移坐された際に新造されたものであろうか。台座はなかなか堂々として、また脇侍は大和座りで来迎の姿をダイナミックにあらわしている。
さらに知りたい時は…
「下北半島における仏像文化について」(『東奥文化』84)、滝尻善英、2013年3月
『下北の仏像』(『青森県史叢書』)、青森県発行、2006年
『図説 みちのく古仏紀行』、大矢邦宣、河出書房新社、1999年