長福寺の銅造菩薩立像
「信州夢殿」の本尊
住所
上田市下之郷541
訪問日
2013年9月15日
拝観までの道
上田駅から出ている上田電鉄別所線で約15分、下之郷(しものごう)駅下車。
駅前に大きく「参道」として案内がでているが、これは近くにある大きな神社である生島足島(いくしまたるしま)神社の案内である。その案内に従って右手にある大きな鳥居をくぐると、まもなく左手に見えてくるお寺が長福寺。駅から3分ほどである。
拝観には事前連絡必要。
拝観料
300円
お寺や仏像のいわれなど
真言宗のお寺。10世紀の祐存上人という方が開いたと伝え、近代初期の神仏分離まで生島足島神社の別当寺であった。
境内に「信州夢殿」と呼ばれる八角堂がある。法隆寺の夢殿を忠実に二分の一にしてつくられたものだそうで、銅造の菩薩立像をまつる。お寺ではこの像について、やはり法隆寺にならい「救世観音」と呼んでいる。もと小布施の旧家に伝来し、それが縁あって20世紀なかばにこの寺に寄進され、その中を取り持った篤志家がこの仏像を安置するための建物を寄進したとのこと。
拝観の環境
像はお堂の中央の厨子中におさめられている。ライトをつけてくださり、そばに寄って拝観させていただける。
仏像の印象
像高は40センチ弱、頭頂から台座の蓮肉までを一鋳として、ろう型で鋳造された古代の金銅仏である。
三面頭飾をつけ、正面の頭飾の中央には珠か炎の模様を上下に2つあらわす。額を比較的大きくとり、その下、目鼻立ちはくっきりと、また口元に浮かべる微笑みの様子もしっかりあらわしている。これによってやさしい菩薩像の印象があるが、正面からよく拝観させていただくと、意外に威厳ある力強い表情も感じられる。
上半身は首飾りだけをつけ、胴はしっかりくびれ、腰は裳をまとってゆったりとあらわされるが、全体に「痩身タイプ」で、美しいプロポーションの像である。
正面で折り返した裳の折りたたみ具合や、両足の間に足れる紐の様子も素敵である。ほぼ直立するが、左膝を若干前に出して、動きを生んでいる。
右手は下げて、水瓶を持つ。
左手と垂下する天衣は後補である。
さらに知りたい時は…
『定本 信州の仏像』、しなのき書房、2008年
『上田市の文化財』(『上田市誌』27)、上田市誌編さん委員会、1999年
『長野県史 美術建築資料編 美術工芸』、長野県、1994年