長谷寺の前立ち仏
大きな頭上面の十一面観音像

住所
高崎市白岩町448
訪問日
2009年6月21日、 2014年8月14日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
白岩(しらいわ)山長谷寺(ちょうこくじ)へは、高崎駅西口2番乗り場から榛名湖方面行き群馬バスで約25分。「ドドメキ」というカタカナ表記のバス停で降り、徒歩約25分。
→ 群馬バス
バス停(高崎駅方面)の脇に「白岩山観世音入口」と書かれた石碑が立つので、そこから北に進んで行く。5分くらい行くと六叉路(「高浜六本辻」)があるが、案内板が立つので迷うことはない。その先下り坂となるが、ここ以外はずっと上りの坂道。
長野行き新幹線を上で横切り、ソーラーパネルが並ぶ脇を進むと県道(137号)に合流、そこからさらに5分くらいで長谷寺に着く。
本堂前の納経所で申し出ると、本堂内で拝観できる。
拝観料
200円
お寺や仏像のいわれ
役行者が開いたと伝える古刹である。戦国時代に武田軍によって焼かれて、現在の堂宇はその後の再建という。基本的に仁王門と本堂で構成される比較的小規模な寺院であるが、白岩観音ともよばれ、坂東三十三観音の第15番札所として参詣者が絶えない。
本尊の十一面観音像は秘仏だが、前立ち像を拝観できる。
この前立ちの十一面観音像は右手に錫杖を持っていたようで(現状亡失)、いわゆる長谷式の観音像のようだ。現在こそお寺の周辺は農地と住宅地だが、かつては大和の長谷寺のような山寺であったのだろう。大和長谷寺の本堂は巨大な岩上に立つが、この長谷寺へ行く道すがらには大きな石の垣根も見え、ここも巨岩への信仰の土地だったのかもしれない。
拝観の環境
外陣からの拝観なので、像までの距離が若干遠く、ライトもあるが堂内はやや暗いために細部まではよく拝観できないのは残念である。
仏像の印象
前立ちの十一面観音像は像高約185センチの立像で、ヒノキの寄木造。鎌倉後期ごろの作。
個性の強い像で、体と比較すると頭が大きく、頭上面はさらに大きくつくられている。体は細身で、下半身はやや寸詰まりである。
玉眼が強い印象を与えている。生き生きとした鎌倉彫刻の魅力がある。
下半身の裳は複雑な衣褶を見せる。
遠目で分かりにくいが、脇侍として不動、毘沙門の二尊がまつられている。
その他
秘仏の本尊は、写真で見ると前立ちの十一面観音とはかなり違う印象で、顔や頭上面は体に対して小さく、彫眼で、平安後・末期の作と思われる。
納経所で尋ねたところ、毎年1月1日未明の0時から3時ごろまで、お札を納め、元旦の護摩炊きに参加した方を対象にしてご開帳をしているとのこと。
2014年には坂東三十三観音霊場の開帳でご開扉があった。
なお、群馬県立歴史博物館の常設展示室でレプリカが展示されている。
さらに知りたい時は…
『榛名町誌 通史編』上、榛名町誌編さん委員会、2011年
『地方仏を歩く』3、丸山尚一、日本放送出版協会、2004年
『仏像集成 』1、久野健編、学生社、1989年