宝生寺の阿弥陀三尊像
毎年4月29日に開扉

住所
茅ヶ崎市西久保546
訪問日
2011年4月29日
この仏像の姿(外部リンク)
拝観までの道
JR茅ヶ崎駅北口6番乗り場から神奈中バス文教大学または寒川駅南口行きに乗車し、「西久保」下車。西に徒歩約10分。
またはJR相模線で香川駅下車、南に徒歩約20分。
お寺の入口(門)は東側にある。
拝観料
特に拝観料の設定はなかった。
お寺や仏像のいわれなど
真言宗寺院。中世に開かれ、近世に再興されたという。本尊は大日如来像。
このお寺に伝わる善光寺式阿弥陀三尊像についてもその来歴は不詳で、平安末期から鎌倉初期の武将・大庭景義の持仏であったとの伝承がある。
拝観の環境
善光寺式阿弥陀三尊像は、本堂に向って左側の阿弥陀堂(収蔵庫)内に安置され、毎年4月29日に開扉されている。
お堂は北面し、奥の厨子中に安置されている黒い像であるため、やや細部まではわかりにくいが、外の光がやわらかく入って、まずまずよく拝観できる。
仏像の印象
銅造で、中尊は像高約60センチ、脇侍は像高約30センチ、いずれも立像である。
この三尊像は、長野・善光寺の秘仏を模したとされる、いわゆる善光寺式の阿弥陀三尊像である。三尊とも立像で、ひとつの大きな光背をもつ。中尊の下げた左手は人差し指と中指を伸ばす「刀印」という印相をあらわし、脇侍像は胸前でてのひらを重ねる。また、多角形の冠をつける。
このタイプの像は、中世に多くつくられた。銘文をもつ像も多いが、この宝生寺の像にはない。しかし優れた鋳上がりで、伸びやかな風の鎌倉時代の名像である。
中尊は落ち着いた顔立ちで、目は細い。顔の輪郭や衣の流れは、くっきりと明解である。肩から胴にかけては、ゆったりとした肉づきをしている。
向って右の脇侍像は、目鼻立ちが整い、優しい顔立ちである。冠の浮き彫りの模様はくっきりと出て、衣の襞(ひだ)も煩雑にならず、スタイルもよい。
かつて火災にあったことがあるらしい。向って左の脇侍像はそのあとが強く残り、裙は荒れ、姿勢ものけぞっている。
さらに知りたい時は…
『解説版 新指定重要文化財3、彫刻』、毎日新聞社、1981年
『茅ヶ崎市史』3、茅ヶ崎市、1980年
『神奈川県文化財図鑑 彫刻篇』、神奈川県教育委員会、有隣堂、1975年