大山寺の不動三尊像
毎月8日、18日、28日などに開扉

住所
伊勢原市大山724
訪問日
2008年1月14日
この仏像の姿(外部リンク)
雨降山大山寺・お寺の歴史(ご本尊)
拝観までの道
小田急線伊勢原駅北口バス乗り場から大山ケーブル駅行き神奈中バス(日中、1時間に3本程度)で終点まで約20分。料理屋、土産物屋が立ち並ぶ道を登るとケーブルの追分駅に出るので、そこからケーブルカーでひと駅(大山寺駅)乗るか、もしくは女坂の石段を上がっていくと、大山寺に着く。
本尊の鉄造不動三尊像は秘仏だが、毎月8、18、28日のほか、夏季・秋季にも開帳期間がある(夏山祭御開帳、もみじ祭御開帳。ホームページか電話で確認のこと)。
拝観料
300円
お寺や仏像のいわれ
大山寺は雨降(あぶり)山と号し、創建は古代まで遡るという。
鎌倉中期に願行によって再興。この願行は鎌倉等で数か寺を開くなど、当時活躍していた僧のようである。本尊不動三尊像もこの願行によって造られたとの記録がある。
かつて栄えた大山寺も、近代の神仏分離によって大山阿夫利神社と分離し、山腹のひっそりした寺院となって今日に至っている。
拝観の環境
本堂奥に敷設された耐火建築の小堂に不動三尊像は安置されている。ガラスで仕切られているため、正面からのみの拝観となる。ライトがつけられており、かなり拝観はしやすい。
仏像の印象
鎌倉時代の鉄造の不動三尊像で、中尊は像高1メートル弱の坐像、脇侍の童子像もやはり1メートル弱であるが、こちらは立像である。
中尊の姿でまず目を引くのは見開いた両眼である。水晶を用い、らんらんと輝いて見える。木彫の玉眼は内側から取り付けるが、この像では外から貼付けている。鉄造はもちろん、金銅の仏像まで広げても、このような技法を用いたものはほかにはない。
次に太くたくましい両腕。右の上腕を強く横に張り出し、羂索を持つ左手もぐっと左へと向けている。 強い造型で、圧倒される。
光背、台座、持物等は後補である。
脇侍の二童子は背に穴が開くなど鋳造に難点があるというが、正面からは破綻なくきれいにまとまっているように見える。
その他
本堂内には平安後期の小ぶりな木造の不動明王の坐造も安置されている。よく整ったお姿の像である。
さらに知りたい時は…
「大山寺蔵 不動明王二童子像」(『国華』1285)、津田徹英、2003年1月
『伊勢原の仏像』、伊勢原市教育委員会、2000年
『伊勢原市史 通史編 先史・古代・中世』、伊勢原市史編集委員会 1995年
『日本の鉄仏』、佐藤昭夫・中村由信、小学館、1980年
『神奈川県文化財図鑑 彫刻篇』、神奈川県教育委員会、1975年