京福寺の釈迦三尊像
比較的珍しい坐像の三尊

住所
小田原市久野885
訪問日
2011年9月4日
拝観までの道
小田原駅から小田急線で北にひとつ、足柄駅で下車、西へ15分ほど歩いたところにある。
拝観は事前連絡必要。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれなど
16世紀半ば、小田原北条氏ゆかりのお寺として、現在地よりやや西の場所に臨済宗寺院として創建された。江戸時代中期に現在地に移り、曹洞宗に転宗したという。
本尊は平安から鎌倉時代の釈迦三尊像なので、仏像の方がお寺の創建より古い。しかし、このお寺の本尊として迎えられる以前の伝来は不詳である。
拝観の環境
本堂中央のやや高い段に安置され、窮屈そうに並んでいる。
堂内は明るいが、前には飾り物があり、その間の隙間を見つけるようにして拝観する。
仏像の印象
中尊、脇侍とも坐像の三尊像は比較的珍しい。
中尊は像高80センチ余り、脇侍は60センチあまり。
中尊は施無畏与願印。肉髻はそれほど高くなく、顔には張りがある。ややなで肩、堂々とした上半身だが、肉厚ではなさそうである。膝は左右によく張り、安定感がある。衣のひだはやや深く刻まれる。
脇侍像は左右でやや印象が異なる。
右脇侍(向って左の像)は顔つき、上半身、手の構えともにゆったりとして、腰でしっかりと絞る。一方、左脇侍(向って右の像)は中尊や右脇侍像に比べてやや面長で、いかり肩、また上半身や腕の角度もゆったりとした雰囲気に欠ける。あるいは、若干の時代差があるのかもしれない。
下半身は、共に、組んだ足から前に流れる衣は極めて流麗で、衣のひだは中尊同様くっきりとして心地よい。
定朝様の伝統を踏まえながら、鎌倉彫刻風の明るい雰囲気や地方仏的な親しみやすさが加わった、味わい深い仏像と思う。
さらに知りたい時は…
『足柄の仏像』(展覧会図録)、神奈川県立歴史博物館、2023年
『小田原の文化財』、小田原市教育委員会、2001年
『小田原市史 通史編 原始古代中世』、小田原市、1998年
『かながわの平安仏』、清水眞澄、神奈川合同出版、1986年
