石山寺本堂内の仏像
内陣で拝観できる
住所
大津市石山寺1-1-1
訪問日
2011年3月27日、 2019年8月18日
拝観までの道
京阪電鉄石山坂本線の終点石山寺駅下車。琵琶湖から流れ出る瀬田川に沿って南へ10分ほど行くと、石山寺の正門である東大門の前に出る。
または、JR石山駅前から野々宮方面行き京阪バスで「石山寺山門前」下車すぐ。
拝観料
入山料600円+本堂内陣拝観料500円
お寺および本尊のいわれ
その名が示すとおり、石山寺は大岩の上に築かれたお寺である。
豪快に褶曲する変成岩は天然記念物にもなっているが、これがおそらく石山の名の起こりで、岩そのものが古くからの信仰の対象でもあったのだろう。
鎌倉時代成立の「石山寺縁起絵巻」によれば、奈良時代に良弁が夢告によってこの地に観音像を安置し祈ったところ、どういうわけか像がそこから動かなくなったことから、ここに寺院を開いたのがそのはじまりであるとする。
奈良時代後期の761年から762年にかけて、塑像の丈六観音像が造立された。最初期に安置された観音像は、その像内に納められたという。
なお、この塑像の本尊は当初は「観音」であったが、平安後期より石山寺の観音は「如意輪観音」であるとされるようになった。
塑像の本尊は古代または中世に失われ、現在の本尊・如意輪観音像は木造の再興像である。当初の本尊像にならい、岩上に座す巨像で、本堂内の厨子中に秘される。次回開扉は2020年とのこと。
なお、2002年、石山寺の開基1250年を記念して本尊の開扉が行われた際に調査が行われ、像内に納入された小型の厨子から金銅仏4躰が発見された。
堂内の仏像とその印象
本堂の内陣にはたくさんの仏像が安置され、拝観できる。
正面には、秘仏本尊の前立ちの二臂の如意輪観音像が安置される。端正な近世像である。
その向って左手、護摩壇の奥に平安時代前期から中期ごろの一木造の不動明王坐像が安置されている。迫力のある像だが、像の安置場所はやや暗く、また像までは距離があり、やや見えにくい。
本尊厨子に向って右手後方には蔵王権現懸仏の残欠、本尊脇侍像の心木、毘沙門天像と二天像が安置されている。また、室町時代ごろの作と考えられている三十三応現神像もずらりと並んでいる。
本尊脇侍の心木、すなわち奈良時代造立の本尊の右脇侍像(塑像)の心木は、当初像が壊れた後、再利用されていたもの、近年の修理で取り出された。奈良時代の塑像の心木が安置されているというのは、珍しいことだ。像高は右手右足を上げる蔵王権現の姿であるが、これは途中で改変された姿である。
毘沙門天像は本堂北東隅に安置される。像高は2メートル半以上ある巨像で、もと瀬田の毘沙門堂に安置されていたという。やや大味な感じ。寄木造で、平安後・末期の像。その脇の二天像は平安時代後期らしい大人しい天部像である。寄木造で、像高は各160センチ前後。
その他
2011年に筆者が訪れた際には、特別公開として本尊胎内仏4躰も拝観できたが、その後は公開していないようだ。
さらに知りたい時は…
「石山寺蔵 金銅仏」(『国華』1407)、岩田茂樹、2013年1月
『石山寺と湖南の仏像 』(展覧会図録)、大津市歴史博物館、2008年
『石山寺の信仰と歴史』、綾村宏編、思文閣出版、2008年
『観音のみてら石山寺』(展覧会図録)、奈良国立博物館、2002年
『石山寺本尊如意輪観音像内納入品』、奈良国立博物館、2002年
「石山寺本尊観音菩薩像」(『日本古彫刻史論』)、猪川和子、講談社、1975年