正法寺(岩間寺)の地蔵菩薩像、不動三尊像
不動堂は毎月17日に開扉
住所
大津市石山内畑町82
訪問日
2015年1月17日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
岩間山正法寺(しょうほうじ)は岩間寺(いわまでら)と通称されることが多い。
大津市内にあるお寺だが、市街地でなく京都府宇治市との境、443メートルの岩間山の山頂近くにある山岳寺院である。従って交通も不便であり、石山駅から大石小学校方面行き京阪バス(52~54系統)で「中千町」下車、そこから徒歩で1時間近くかかる。
毎月17日がご縁日には京阪バスが無料で直通バスを運行している。
この直通バスは、石山駅前から出る。
JR石山駅の南北に出口のうち南側の出口すぐの階段を下りると東側にバス乗り場があるが、直通バスの乗り場はそこではなく、駅の西側へ数分行ったもうひとつのロータリーに設けられていた。
バスの乗車時間は25分ほど。岩間寺の駐車場までノンストップ(帰路は石山寺の門前や京阪の石山寺駅前など何ヶ所かに停車)。
拝観料
300円
お寺や仏像のいわれなど
正法寺は真言宗寺院。西国三十三所の12番札所となっている。
境内には「石山寺まで5.5キロ」「上醍醐まで6キロ」と表示されており、昔から聖地を巡拝する人々が行き交う場所であったことが実感される。
伝えによれば、奈良時代前期、泰澄大師が開いたお寺という。本尊は秘仏の千手観音で、泰澄が桂の木から彫り出した像と伝え、本堂前の桂の木はそのあと再び芽吹いた霊木であるという。
桂は香り高く、広葉樹ではあるが比較的彫刻に向く樹種で、主として東日本ではカツラの仏像が多く残る。この岩間寺の縁起は、桂の霊木が仏像の素材にふさわしいと述べている例として注目される。
泰澄自刻による本尊は、夜地獄へと赴き亡者を救済し、全身に汗を浮かべて寺に戻ることから「汗かき観音」といわれる。
また、この寺はぼけ防止、雷よけの功徳があるとして多くの参詣者がある。
雷よけについては、泰澄大師が開山を妨害した雷を捕えて仏弟子にしたという伝承から来ているそうだ。
拝観の環境
正法寺の仏像の中で、本堂安置の地蔵菩薩立像と不動堂本尊の不動三尊像は平安時代にさかのぼる古仏である。
地蔵菩薩立像は、本堂内本尊厨子に向かって右の脇壇に安置される。
本尊厨子の前、内陣を避けて右側を進むと、かなり近くまで進める。ライトもあり、まずまずよく拝観できる。
仏像の印象
地蔵菩薩像は像高は約70センチの立像。一木造で内ぐりもない古様な像だが、平安時代前期の彫刻にみられる量感豊かさは見られず、平安後期に入っての造像と思われる。
宝珠と錫杖を持つ通例の地蔵像だが、両手・両足の先や持物は後補。
頭部が大きく、さらに額より上を大きくとり、目鼻が顔の下に半分にあるように見えることから、子どもの可愛らしさを連想させる像である。また体部も若干傾いているようにも思い、それがまた可憐にも感じる。
鼻の下や口は小さいがあごはしっかりとつくる。
なで肩で、手はあまりすらりとは伸びない。下半身では袈裟の襞が左の腰から斜め下に流れるように筋をつけ(実際には腰から左肩へ上がっていく表現なのであるが、感覚としては斜め下に流れるような印象)、そのラインがまた美しい。
不動三尊像について
不動三尊像は本堂に向かって右手にある不動堂にまつられ、毎月17日のご縁日に開扉されている。
像高は中尊が約100センチ、脇侍が約65センチの立像である。平安末期から鎌倉初期くらいの作。ヒノキの寄木造で彫眼。
中尊は巻き毛で片目をすがめる「不動十九観」に基づく像。脇侍は頭部を小さく、控えめな動きで中尊に従うしぐさが可愛らしい。
ただし、お像は厨子中で、ライトもないために、細部までよく見るのは難しい。
筆者は午前の拝観であったのでその時間まではいなかったが、12時から不動護摩の法要があるそうで、その前後には近くまで進めるのかもしれない。