正妙寺の千手千足観音像
千足という驚くべき造形

住所
長浜市高月町西野
訪問日
2008年12月20日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
西野薬師堂から徒歩で10分くらい、西野薬師堂の北側の丘に正妙寺はある。
寺といっても小さなお堂で、日枝神社の脇から入っていく。
高月町の他の多くの観音堂と同様、このお堂も地域の方が守っていて、事前に電話でお願いしておくと開けていただける。
*2017年2月より、西野薬師堂境内にお移りになったそうである。拝観は西野薬師堂と共通で500円。
拝観料
300円
仏像のいわれなど
本像は、みうらじゅんさんも推薦する非常に珍しい千手千足観音像である。
鎌倉時代後期に天台宗の諸尊や修法、寺の縁起、高僧伝などを集めて編纂された「阿裟縛抄(あさばしょう)」などには千足の観音の記載がある。それによると現在・過去・未来の三世の諸仏を集約した観音で、天台の高僧円珍が唐より請来して園城寺(三井寺)に納めたとある。こうした記述をもとに造られたものかと想像されるが、この像自体はその造像の由来など確かな記録は残されていない。山を隔てた琵琶湖湖畔にかつて存在した「阿曾津千軒」という集落の有力者の念持仏であったという伝承が残されているのみである。
拝観の環境
近づいてよく拝観できる。
仏像の印象
像は40センチ余りの小さな立像で、一般の千手観音と同様に頭上面を持つが、本面は3眼、忿怒相である。目は見開き、口をひらいて牙を見せる。頬はぷっくりと童子のようで、観音というよりは明王のような姿である。
手は第一手は錫杖と戟(げき)を取るが、他の手には持物はない。足は台座を踏みしめる2本のほかは横長にたくさんの足をあらわして、やや漫画チックである。
長く秘仏で、ご開帳時も顔を見せる程度だったそうで、こうした特異な姿であることは地元でもほとんど知られていなかったらしい。詳しい調査もまだ行われておらず、木の材質など不明という。
全身に金が塗られている。
近世の作と思われる。
さらに知りたい時は…
『びわ湖・長浜のホトケたち』Ⅱ(展覧会図録)、長浜市発行、2016年
『美仏巡礼(日経ホームマガジン)』、日経BP社、2008年