延暦寺国宝殿の薬師如来像

もと、佐賀・大興善寺の仏像か

住所

大津市坂本本町4220

 

 

訪問日

2010年11月28日

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

延暦寺ホームページ・国宝殿

 

 

 

拝観までの道

延暦寺までは、延暦寺横川中堂の聖観音像の項をご覧ください。

 

延暦寺東塔の拝観入口から左にすぐのところに国宝殿(宝物館)がある。山内に伝わるの重要な仏像の多くがここに集められている。

 

 

拝観料

国宝殿入館料450円(ほかに延暦寺の拝観料が550円かかる)

 

 

延暦寺国宝殿について

延暦寺の宝物館としては、かつて横川に秘宝館という宝物館があり、時期を限定して開館していたらしいが、1992年に新しい宝物館としてこの国宝殿が開かれた。

 

3つの展示室のうち、第1と第2展示室に平安時代から江戸時代に至る各時代の仏像が安置されている。信長によって全山焼討ちされ、火を免れたお堂はわずかだったことを考えるならば、よくこれほどの仏像が伝来したものだと驚かされる。

 

第1展示室の仏像はほぼ固定で、第2展示室では入れ替わりもあるらしい。

仏像はガラスケース中に安置され、間近でよく拝観できる。

 

 

仏像の印象

第1展示室には、比較的大きな像が安置されている。

中でも目を引くのは、展示室奥に安置された薬師如来坐像である。

戦後になって篤志家から延暦寺に寄進された仏像で、以前は根本中堂の護摩壇に安置されていたそうだ。江戸時代の修理銘があり、「大興善寺」の文字があることから、佐賀県の大興善寺旧蔵かと考えられることが多かった。しかし、奈良県の興善寺のことではないかともいわれている。

 

雄渾な姿の像である。螺髪の粒は大きく、肉髻は高く、地髪部から自然に立ち上がる。上半身はかなり高くつくり、膝は左右によく張り出して、安定感がある。衣の線は太く力強い。衣を通して見えるふくらはぎの盛り上がりもすばらしい。

顔は林厳というよりは穏やかさがまさっているように思う。目は半眼で、鼻は大きく、口許は若干微笑を浮かべているようにも見える。

クスノキの一木造という。平安前期、10世紀ごろの作。像高は約125センチ。

 

 

その他

第2展示室は、筆者が訪れた時には檀像様の千手観音像や維摩居士像といった平安彫刻、鎌倉在銘彫刻の大黒天像や慈恵大師像、江戸時代の慈眼大師(天海)像などが展示されていた。

 

 

さらに知りたい時は…

『廃寺のみ仏たちは今』、小倉つき子、京阪奈新書、2020年

『比叡山国宝殿ー比叡山の名宝』、比叡山延暦寺、2002年

 

 

仏像探訪記/滋賀県