常善寺の阿弥陀三尊像
鎌倉時代中期の作
住所
草津市草津3-9-7
訪問日
2015年7月27日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
草津の市街、旧東海道からすぐのところに常善寺というお寺がある。本堂だけの無住の寺院で、境内にある浄土宗の教務所が管理している。
拝観は事前連絡必要。土曜日・休日の拝観は不可で、平日のみ受け付ける。
浄土宗教務所に直接でもよいのだろうが、草津の観光ボランティアガイド協会が案内しているので、そこに申し込むと話が早いと聞き、お願いしてみた。申し込みは原則2週間前。
草津駅南口から南へ徒歩約10分で観光ボランティアガイド協会が入っている草津まちなか交流施設(くさつ夢本陣)につく。常善寺はそこから1~2分と近い。
拝観料
志納料(目安1人500円以上)+ガイド料1,000円(観光ボランティア協会にお願いした場合)
お寺や仏像のいわれなど
江戸時代の記録によれば、奈良時代創建、鎌倉前期の承久の乱で被害にあい、鎌倉時代後期の1276年に西大寺の叡尊によって再建されたという。
阿弥陀三尊像の向かって右側の脇侍(観音像)の台座には鎌倉中期の1253年、1256年の年をあらわす墨書ある。この記述はのちに書かれたものである可能性もあるものの、中尊像台座の4段目くらいの蓮弁の裏側にある康元元年(1256年)の墨書は当初のものであると考えられる。これは江戸時代の記録とは若干時期はずれるが、そのころに寺が整備され、本尊がつくられたと考えてよいのではないか。
なお、三尊像の台座には、江戸時代中期の修理されたことも書かれている。
拝観の環境
堂内、近くよりよく拝観させていただけた。
仏像の印象
常善寺・本尊は阿弥陀三尊像は、中尊が坐像で像高約90センチ、脇侍が立像で約110センチ。ヒノキの寄木造(脇侍は割矧ぎ造か)、玉眼。
中尊の頭部は、肉髻の盛り上がりは低めに、螺髪の粒は大きめに、そして髪際はカーブする。目はしっかりと見開き、眉を高々とは上げず、口鼻は小ぶりに。大変明快な顔つきには魅力がある。
上半身は四角張った印象である。来迎印を結ぶ。
脇侍像はまげを高く結い、髪は装飾的に処理する。大変美しい。目は中尊と異なって半眼とする。
お腹を丸くし、腰をひねって、中尊に対して外側の足を若干前に指している。
衣には金泥の上に切り金がよく残って、美しい。
左右の像は基本的には同じ雰囲気だが、髪や衣の表現を変えて変化をつける。
保存がよく、光背や台座の一部などのほか後補部分が少ない。
その他
背後の来迎壁には剥落が進んでいるものの、二十五菩薩の来迎図が描かれている。古いものだが、仏像よりは若干あとの時代に書かれたものではないかという。
さらに知りたい時は…
『日本彫刻史基礎資料集成 鎌倉時代 造像銘記篇』7、中央公論美術出版、2009年
『草津市史』1、草津市史編さん委員会、1981年