医王寺の十一面観音像
すらりと美しい観音さま
住所
長浜市木之本町大見
訪問日
2011年3月28日
この仏像の姿(外部リンク)
拝観までの道
米原駅から北陸本線で約25分。木ノ本駅で下車。駅東口の観光案内所にレンタサイクルがあるので、それを借りるとよい。アシストタイプもある。簡単な地図ももらえる。
駅から医王寺までは7.5キロくらい。国道303号から県道285号に入り、高時川沿いを北上する。急坂はないが、一定アップダウンがあり、こぐスピードにもよるが、35分から40分くらいと思う。
バス利用の場合、木ノ本駅から湖国バス金居原線で「川合」下車。徒歩約40分。
医王寺は無住の寺で、地域の方が交替でお守りしている。連絡先は、木ノ本駅の観光案内所に問い合わせると教えてもらえるので、事前連絡をしてうかがう。
ただし月曜日は原則休み。
* 木之本観光案内所
拝観料
300円
仏像のいわれ
医王寺は鎌倉時代創建の真言宗寺院。
観音堂本尊として安置されている十一面観音像は、近代になって長浜市内の個人より移安された等伝えられる。
もともとは近隣のどこかのお寺にまつられていたお像であったのか、残念ながら不詳である。
拝観の環境
厨子中にあり、正面からのみだが、近くよりよく拝観できる。
仏像の印象
像高は約150センチ。一木造で、内ぐりもない。台座は後補だが、その上部を見ると、元は蓮肉まで共木から彫りだされていた痕跡があり、古様なつくりといえる。
平安前期のような古く力強い表現と、平安後期の形式化し穏やかになった風が違和感なく混在する。魅力的な仏像である。
写真になったものを見ると丸顔に見えるが、実際にはやや面長。目は細く、鼻はどっしりと、唇は薄く、微笑みを浮かべている。
直立に近い姿勢だが、右足をわずかに遊ばせ、腰を左に少しひねっている。下半身は長く、プロポーションがよい。誇張のない自然な体つきで、胸や太ももはそれほど厚みを感じさせない。
衣の襞(ひだ)の表現がとてもよい。全体に衣文の線をくっきりと刻み、下肢には翻波式衣文が見える。両肩の天衣、裙の折り返しの中央、裙の裾の左右には「品」の字のように衣を折り畳んでたたんでいるのが見え、その繰り返しが心地よいリズムを生み出している。両足の間、裙の布が折り重なってうねうねを模様をつくる表現もとてもきれいである。
さらに知りたい時は…
『びわ湖・長浜のホトケたち』Ⅱ(展覧会図録)、長浜市発行、2016年
『新テレビ見仏記』9(DVD作品)、TCエンタテインメント、2014年
『みーな』110、長浜みーな編集室、2011年5月
『木之本の文化財Ⅰ 杉野/高時編』、木之本町教育委員会、2002年
『湖国の十一面観音』、石元泰博、岩波書店 、1982年