大関観音堂の菩薩立像
平安前期の力強い造形
住所
宇都宮市西刑部町1265
訪問日
2010年12月12日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
JR宇都宮駅の南南東、7〜8キロ、西刑部町(にしおさかべまち)というところにある。みずほの自然の森公園という大きな公園の東北、江川放水路(鬼怒川支流)沿い。
交通はJR宇都宮駅の西口バスターミナル9番乗り場から、瑞穂野団地方面行き関東バスにて「瑞穂野団地」下車、南に徒歩約20分。
田園の中にお堂と墓地があり、地区で管理している。拝観は事前に管理者に連絡する必要がある。
拝観料
拝観料の定めは特になかった。
仏像のいわれ
由来等不詳。
東山道に近く、7世紀後半から9世紀にかけての官衙の跡も遠からぬところにあるそうだ。そのために早くより開けた地であったようで、こうした古仏が伝来しているのではないかと想像される。
拝観の環境
堂内は外の光が入って明るく、近くからよく拝観できる。
仏像の印象
像高250センチ弱という大きな菩薩立像である。カヤの一木造。背中から大きなくりがあるそうだ。
四角い顔の上に大きなまげがのる。上まぶた、下まぶたがふくれあがるように球形につくられ、口もともよく引き締まり、力強い顔だちになっている。耳も大きく、そこを横切る2筋の髪もなかなかダイナミックである。
上半身はたくましいが、腹や下半身はそれほど迫力がない。腰はよく引き締まる。下半身の衣には渦巻きの文や翻波式衣文が見える。
左足は少し浮かせ、右足も垂直ではない。やや不安定な立ち姿であるが、それでいてバランスはよくとれている。腰をややひねり、それにともなって裙の折り返しの部分がゆれる造形もすばらしい。
腕や台座は後補。
さらに知りたい時は…
『鑑真和上と下野薬師寺 天下三戒壇でつながる信仰の場』(展覧会図録)、栃木県立博物館、2022年
「下野の仏像」(『国華』1339)、北口英雄、2007年5月
「大関観音堂蔵 木造菩薩立像」(『国華』1339)、岩佐光晴、2007年5月
「栃木県の平安仏<一木彫について>1」(『宇都宮大学教育学部紀要』37)、日原公大・北口英雄、1987年