野津田薬師堂の日光、月光菩薩像
正月と秋に各数日、堂内で拝観可
住所
町田市野津田町3424
訪問日
2018年11月3日
拝観までの道
野津田(のつだ)薬師堂は、町田市の薬師池公園内にある。
交通は町田駅からバス。小田急町田駅東口の踏み切り北側にあるバス停から出ている神奈中バス野津田車庫行きか鶴川駅行き(本町田経由)にて、「薬師池」または「薬師ヶ丘」下車。バス通りの西側に広がる大きな公園が薬師池公園である。
本尊の薬師如来像は秘仏である。平安時代後期につくられた素朴な印象の古仏である。12年に一度、寅年の4月上旬から5月上旬の間厨子の扉が開かれ、拝観することができる。
普段は本尊の厨子は閉じられているが、お堂は正月3が日や11月3日前後の東京都の文化財ウィークの間開かれる。その時には、入堂して拝観することができる。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれなど
薬師池公園は福王寺旧園地ともいい、かつてこの地にあった福王寺というお寺の境内だったところらしい。今は薬師堂だけが園内に残り、地名から野津田薬師堂と呼ばれている。近くの華厳院(真言宗)という寺院が管理をしている。
お堂は近代、19世紀後半の再建で、入口に彫られた獅子の彫刻や天井に描かれた龍と天女の絵がみどころ。
拝観の環境
本尊厨子の左右に脇侍の日光、月光菩薩像が簡素な厨子に入って安置されている。
正面からはやや距離がある。また、本尊に向かって左右には十二神将像がそれぞれ6躰ずつ安置されているので、その前まで行くことができ、その際に脇から覗き込むことができるが、仏具などもあって、全身をよく見るのは難しい。
仏像の印象
脇侍の日光、月光菩薩像は、像高は約90センチ。たいへん素朴な作行きであり、時代を特定しにくいが、中世の作と思われる。
両像は暖かみのある素朴な作風が共通するが、よく見ていくと、かなり異なっている。
赤い円盤をてのひらに載せている方が日光菩薩像。本尊厨子に向かって右手に安置されている。
頭部が大きく、胴をしっかり絞っている。円盤を持つ右手は外側に開き、左手は下ろしててのひらをこちらに向ける。鼻を大きく、鼻の下を長くし、ほおをふくらませている。くちびるを突き出すさまにも心ひかれる。首の下にとってつけたようにふくらみをつくっている胸や短い下半身も可愛らしい。
本尊に向かって左側の月光菩薩像は、白い円盤をてのひらに載せる。
まげがまるで帽子のように見え、目、鼻、口もいかにも素朴である。胸のふくらみなどはあらわさず、腰から下の天衣は紐状になって、Xの文字のように交差しているのが面白い。
さらに知りたい時は…
「ほっとけない仏たち」32(『目の眼』503)、青木淳、2018年8月