清鏡寺の十一面観音像
鎌倉期の十一面観音像の優作
住所
八王子市大塚378
訪問日
2008年5月3日
拝観までの道
清鏡寺(大塚観音堂)は八王子市の東部、帝京大学のすぐ近くにある。
交通は、多摩モノレール線の大塚・帝京大学駅から徒歩10分ほど。または、多摩センター駅や京王線の聖蹟桜ヶ丘駅から京王バスで「帝京大学入口」下車徒歩5分。
観音堂の中、向って右奥に収蔵庫がつくられていて、事前にお願いしておけば開けてくださる。
拝観料
志納
仏像のいわれ
十一面観音像は客仏で、近世の廃仏で廃寺となった近くの寺院から移されてきたもの。
拝観の環境
収蔵庫の前面はガラスで、その中で厨子中に安置されている。中は照明によって明るくされ、すぐ前に寄れるので、ガラス越しではあるがかなりよく拝観できる。
仏像の印象
像高は90センチあまりの小ぶりな立像である。かつては近世の彩色でおおわれ、像容を損ねていたが、近年修理され、金を基調とした古色によって仕上げられている。
バランスのよい像である。顔は鎌倉期の仏像らしい引き締まった理知的な表情をしている。衣は、肩のあたりに襞(ひだ)を多く刻んでいるところ、腰布が前面で大きく表されているところなど、装飾性を加えている。
頭上面の様子は厨子のかげでよくはわからないが、素朴な感じである。
その他
この寺の本尊は、秘仏の千手観音坐像である。平安後期、旅の僧の夢枕に観音が現れて手を差し出し、それをもとに造像したという言い伝えから「手(御手)の観音様」と呼ばれる。小像ながら千本に近い手をもつが、言い伝えの平安後期よりもあとの時代の像と思われる。毎年1月1〜3日と、1月16日にご開帳しているそうだ。
お堂は近代初期の再建だが、欄間の彫刻や天井の絵も見どころ。
さらに知りたい時は…
『仏像集成』1、学生社、1989年
『東京都の文化財』三、東京都教育委員会、1986年