明王院の如意輪観音像

年に1日、特別公開

住所
足立区梅田4-15-30


訪問日 
2024年10月31日


この仏像の姿は(外部リンク)
明王院(赤不動)・明王院について



拝観までの道
明王院は東武伊勢崎線梅島駅下車、南へ徒歩約20分。または浅草寿町と足立梅田町間の都営バス草41系統で「赤不動」下車。
本像は毎年10月末から11月初旬にかけて行われている東京文化財ウィークの特別公開事業として、1日だけ公開されるのが通例である。係の方が常駐していて、丁寧に説明をしていただけた。

 

東京都文化財ウィーク情報


拝観料
拝観料等の設定は特になかった。


お寺や仏像のいわれなど
真言宗寺院。本尊は秘仏の不動明王像。
頼朝の叔父の志田義弘が開いたが、その子孫の梅田氏が戦乱を逃れて西へと去ったために荒廃、その後慶長年間(16世紀末~17世紀初頭)に真知法印という方が再興したと伝える。

江戸時代には将軍の鷹狩の際の休息、食事の場所となったという。
かつての本堂が朱塗りの大堂であったことから、「赤不動」と通称されている。なお、現在の本堂(不動堂)は戦後の再建。

如意輪観音像は本堂の本尊厨子に向かって右側の間に安置される、
江戸時代後期の史料にこの像のことかと思われる記述があるが、それ以前の来歴は不明。


拝観の環境
すぐ前からよく拝観させていただけた。


仏像の印象
如意輪観音像は南北朝時代の作。像高は約35センチの坐像。針葉樹(ヒノキあるいはカヤ)の寄木造だが、彩色等はなく、檀像風である。
かなり傷みも進み、髻は後補。また、多くの手が先を失っている。
頭部は大きめで、面長、額と顎が広くつくられている。目は眉、目、鼻、口は整っている。目は玉眼が入るが、見開きが小さく、よく見ないとわからない。鼻筋はよく通る。天冠台に髪が絡むようにしているのは、おしゃれな感じがする。
手の太さ、上半身の高さ、脚部の大きさは、どれも控えめ。左肩から下がる天衣や条帛の下がり方はゆったりとしている。

像内に銘文があり、願主、作者、年がわかるのは貴重である。それによると、願主は直空、作者は法眼院秀、年は1369年であるが、残念なことに直空、院秀については不詳。
この造像時の銘のほかに、16世紀にこの像を安置していた堂宇の再建、17世紀に本像の修理が行われたことについての記述もある。


さらに知りたい時は…
『足立区仏像調査報告書』、東京都足立区立郷土博物館、2013年
『足立の仏像 ほとけがつなぐ足立の歴史』(展覧会図録)、東京都足立区立郷土博物館、2012年


仏像探訪記/東京都