安養寺の阿弥陀如来像
定朝様の美しい阿弥陀さま
住所
日野市万願寺4-20-8
訪問日
2021年11月6日
この仏像の姿は(外部リンク)
安養寺の諸仏
拝観までの道
多摩都市モノレール線の万願寺駅の西、徒歩6~7分。
拝観には事前連絡が必要。土日はご法事が入ることが多いそうで、余裕をもってご相談するとよい。
ご住職によると、特に宣伝はしていないが、観光でなく仏さまとご縁を結びたいという方に来ていただきたいとお話になっていた。
この毘沙門天像は正月の7日間、新しいお堂である薬師堂に移して、拝観できるようにしているということだった。
*2022年1月3日にうかがったところ、薬師堂内近くより大変よく拝観することができた。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれなど
安養寺は真言宗寺院。
近くには土方歳三の墓所のある石田寺や土方歳三資料館があるが、駅名になっている万願寺というお寺はない。安養寺の前身が万願寺であるらしい。安養寺は戦国時代の草創だが、本尊は平安時代後期の作で、万願寺の旧仏といわれている。
本堂は江戸前期の再建で、中尊の阿弥陀如来像は平安時代末期頃の像。脇侍仏は本堂再建時に補われたもので、その後ろには毘沙門天像が安置されていた。ご住職は、本来なら毘沙門堂を建てたいのだが、それはまた次の世代かなとおっしゃっていた。
拝観の環境
堂内近くより拝観させていただいた。
仏像の印象
像高はおよそ90センチ。人の背丈と同じか少し大きいくらいだが、外陣から拝観させていただくと、大きく感じる像である。来迎印を結ぶ。寄木造。保存状態はよいという。
定朝様の像である。肉髻はおわんを伏せたようで、螺髪の粒は小さくと整う。目は切れ長。顔は落ち着いた穏やかな表情である。上半身は大きく、衣は薄く、ひだは浅い。左足を上に組んだ脚部は左右によく張って安定感がある。
その他
脇侍の後ろに安置される毘沙門天像は像高約130センチ。寄木造、彫眼。平安時代後期から鎌倉初期の作と考えられる。右手は上げて戟をとり、左手は斜め前に伸ばして宝塔を掲げる(ただし手は後補)。眉をあげ、目は見開き、口は閉じる。顔を宝塔の方へと傾けるとともに、腰を大きくひねる姿で、とても魅力ある像である。
本堂の脇の間に小さなお厨子に入って大日如来像が安置されている。金剛界の大日如来像だが、非常に珍しい立像の姿である。
さらに知りたい時は…
『田村山極楽院安養寺の諸仏』(安養寺発行の冊子)、2012年
→ 仏像探訪記/東京都