明静院の大日如来像
上杉謙信ゆかりの寺院に安置される大日如来

住所
上越市五智国分2111
訪問日
2018年5月13日
拝観までの道
明静院(みょうじょういん)は直江津駅の西へ約4キロ、岩殿山(いわどのさん)の中腹にある。
直江津方面から頚城バスの桑取線、名立線、能生線に乗車し、「郷津」で下車。バスが来た方へと2分ほど戻り、国道のガード下に出ているお寺の看板のところから小道を入る。ほんとうにこの先にお寺があるのかと不安になるくらいの細い上り坂の道を季節の花々に導かれるようにして上ること約800メートル。バス停から徒歩20分。
ただし、バスの本数は少ない。筆者の場合、帰りにバスに乗車することにして、行きは直江津駅北口からタクシー(1500円と2000円の間だった)を使った。
拝観は事前連絡が望ましい。
拝観料
500円
お寺や仏像のいわれなど
本尊は平安時代の大日如来像。
現在は天台宗寺院だが、かつては妙徳院といい、真言宗寺院であった。上杉謙信ゆかりの寺院でもあったそうだ。
また、以前は五智国分寺(直江津駅の西1キロ半ほどのところにある古刹。越後国分寺の後継寺院)に属してその奥の院と称していたこともあった。
拝観の環境
大日如来像は大日堂の奥に接続した収蔵庫内に安置される。
収蔵庫の扉口より格子戸、金網越しの拝観となる。
仏像の印象
大日如来像は像高約145センチの坐像。大きく立派な像である。
カヤの一木造。カヤを用いていること、一木でつくられているという構造は平安前期彫刻を受け継いでいるが、やさしい顔立ちは平安後期調彫刻のようだし、明るくすっきりとした雰囲気で、顔立ちや組んだ足の表現に自然な抑揚がつけられているさまは鎌倉時代に入っての仏像という感じもする。どうであろうか。
切れ長の目、美しく円弧を描いた眉、通った鼻筋が魅力的で、口や顎は小さくつくられている。顔のパーツの中で上半分を大きく、下半分を小さくつくることで優美でやさしい印象をうんでいる。まげはあまり高くしない。
胸はふっくらとやわらかいように感じられ、胴は絞る。腕はふんわりと空気を抱きしめるように構えて、体の近くで智拳印を結ぶ。
膝は左右にしっかりと張り、衣の線はそれほど深くはないが、しっかりと刻んで、心地よいリズムを生み出している。
右足を上にして組み、右足首の下から前方へと出る衣のたたまれ方がまた美しい。
条帛の下に裙の結びヒモが結ばれている様子、またそのヒモが左右の足にかかって垂れているさまも新鮮である。
さらに知りたい時は…
『見仏記』2、いとうせいこう・みうらじゅん、角川文庫、1999年
