禅林寺の薬師如来像
定朝様の半丈六仏

住所
一宮市浅野字前林12
訪問日
2009年8月8日
この仏像の姿(外部リンク)
拝観までの道
JRの尾張一宮駅または名鉄の一宮駅の東口、尾張一宮駅前バス停より岩倉駅行き名鉄バスに乗車して約10分。「浅野公園前」で下車。バスの本数は1時間に3本くらい。
→ 名鉄バス
このバス停の北側にある浅野公園は、のちに芸州の大名となる浅野家発祥の地なのだそうだ。
禅林寺はその反対側、バス停から南東に5分くらいのところにある。
拝観は事前予約が必要。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれ
このお寺は、摂関政治の時代(10世紀)、藤原実頼の追福のためにその領国尾張に薬師仏をまつったのがはじまりという。当初は極楽寺と称し、天台宗であった。
15世紀、大洪水のために堂塔はことごとく流出し、仏像も一時は沼底に沈んだが、奇瑞によって再び出現したと伝える。
16世紀に曹洞宗にかわり、寺名も現在のものに改められたという。
拝観の環境
薬師如来像は本堂左手の収蔵庫におさめられている。扉口からの拝観だが、像との距離はそれほど遠くなく、中は明るいのでよく拝観できる。
仏像の印象
像高120センチあまりの坐像、ヒノキの寄木造。平安時代後期の像である。
丸顔で、頬はよく張る。上半身は堂々とし、姿勢よく、安定感がある。ややなで肩である。螺髪は小さく、粒がびっしりとならんでいないで、密度が粗い感じがする。肉髻は半球形で、大きい。
衣の襞(ひだ)のつくりがとても美しい。きめ細やかに線がつくられている。膝の前へと衣が端正に折り畳みながら流れていくさまも、たいへん優美である。
像内の構造は複雑になっているそうで、典型的な定朝様から一歩踏み出そうとする工夫と考えられる。
膝の裏に15世紀末の修理銘がある。
もっと知りたい時は…
『愛知県史 別編 文化財3 彫刻』、愛知県史編さん委員会、2013年
『一宮の文化財めぐり』(増補改訂版)、一宮市教育委員会、2001年