北上市立博物館寄託の女神像
万蔵寺の像
住所
北上市立花14-59
訪問日
2009年6月6日
この仏像の姿は(外部リンク)
北上市立博物館までの道
JR北上駅の東、北上川の対岸は北上展勝地という東北有数の桜の名所である。その一角に北上市立博物館・みちのく民俗村がある。
北上駅東口(新幹線口)から歩くと40分くらい。バスは駅西口から江刺バスセンター行き岩手県交通バスで「展勝地」下車。ただしバスの便数は少ない。
同じく北上川東岸にある立花毘沙門堂からは西南方向に徒歩20分くらい。
休館日は年末年始、12月〜3月の月曜日と祝日の翌日。
入館料
一般500円
この館について
昔なつかしい雰囲気の博物館である。
民俗村の広大な敷地には竪穴住居から近世や近代の建築まで、さまざまな建物が移築、復元されている。
その一角ある市立博物館は、自然史部門と歴史部門が併存し、地道に地域の自然や文化を紹介する冊子や研究報告書を出し続けている。華やかではないかもれないが、堅実な活動を続ける博物館という印象を受ける。
* 北上市立博物館(北上市ホームページ・教育文化施設)
その中に古代の彫刻を展示しているコーナーがあり、市内の万蔵寺(萬蔵寺、ばんぞうじ)や白山神社に伝わった平安時代の仏像や神像が展示されている。
ガラス越しに近くでよく見ることができるが、お堂の中と違っていかにも陳列品といった感じになってしまうのは致し方ない。
像の印象
万蔵寺はもと般蔵寺と表記したそうで、市の東部にあり、奥州藤原文化以前からの歴史を伝える古寺である。現在は小堂ひとつのみとなって、仏像、神像の多くがこの市立博物館に寄託されている。いずれもかなり破損が進んでいて痛々しい。
なかで目をひくのは女神像である。50センチほどの小像で、風化によるいたみが激しく、残念ながら顔立ちははっきりしないが、顔を少し前に出し、かぶり物をつけているのは珍しい。地方の風習か何かを神の像にも適用したのであろうか。この頭から前へ下がる衣を左右の手で抑えている様子も可愛らしい。
太い帯をつけ、その上下の意匠も斬新である。帯を中央にして、Xの字のように見えているのは、上は衣の打ち合わせ、下は帯の結び紐が垂れている表現であろうか。
いつまでも見ていたいと思う像である。
さらに知りたい時は…
「先平泉文化の諸寺院」(『平泉を掘る』、吉川弘文館、2020年)、杉本良
『いわて未来への遺産 古代・中世を歩く』、岩手日報社出版部、2001年
『図説 みちのく古仏紀行』、大矢邦宣、河出書房新社、1999年
『きたかみの古仏(北上川流域の自然と文化シリーズ13)』、北上市立博物館、1991年
『国見山極楽寺(北上川流域の自然と文化シリーズ8)』、北上市立博物館、1986年