養老寺の千手観音像
上品でりりしい観音像
住所
養老町養老公園1276-1
訪問日
2018年3月11日
拝観までの道
岐阜県の大垣駅か三重県の桑名駅から養老鉄道に乗車し、養老駅で下車。
有名な養老の滝の最寄り駅である。滝は駅からほぼ真西に約2キロ、徒歩30分くらい。駅の西側を南北に通る県道56号を越えると、養老公園(県が管理する広域の公園で、設立は1880年)に入る。駅に近い方に子ども向けの遊戯施設があり、その先にキャンプセンターがあって、一番奥に養老の滝がある。
養老寺は養老公園の中にある。駅から徒歩15~20分。上り坂だが、のんびり歩くのにはちょうどよい距離である。
徒歩以外では、駅のレンタサイクル。駅前にはタクシーが待っていることが多く、また途中の松風橋まで無料のシャトルバスも運行されている(土日祝日運行)。
養老寺には千手観音像、不動明王像の2躰の古仏が伝来しているが、不動明王像は秘仏で拝観は不可。
千手観音像は収蔵庫(宝物殿)内に安置され、事前連絡で拝観ができる。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれなど
養老孝子伝説というものがある。昔この里に住む夫婦の老父への孝行によって、泉が霊酒となる奇瑞が起こったという。これによって、元正天皇はこの地に七堂伽藍を建立し、養老寺としたというのが寺の草創の縁起となっている。
はじめ法相宗であったというが、のち天台宗に、その後浄土真宗に転じて現在に至る。
拝観の環境
収蔵庫内で拝観させていただける。
仏像の印象
像高は約90センチの立像。一木造、彫眼。平安時代末期ごろの作と思われる。
美しい仏像である。小さな顔、なで肩、横幅をしっかりととった上半身、下半身、浅いひだの流れ、控えめにつけられた脇手。すべてが上品なお姿である。
しかし、顔つきはよくよく見ていくと、目鼻立ちはくっきりとして、上唇をしっかりと彫り出し、顎も力強い。男性的なりりしさがある。
条帛は胸を斜めにというよりは、腹のあたりまで下がって腹を横切る。
胸や腹の厚みはあまりなく、下肢の衣は変化に乏しい。
さらに知りたい時は…
『岐阜県の仏像』、岐阜県博物館、1990年
『養老町史 通史編』上、養老町、1978年