飛騨国分寺の諸像
平安の古仏3像
住所
高山市総和町1-83
訪問日
2009年4月19日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
飛騨国分寺は、飛騨高山駅から北東方向、徒歩約5分のところにある。
拝観は本堂に向って左手の庫裏に申し出る。
拝観料
300円
お寺のいわれ
境内はそれほど大きくはないが、本堂が創建時の金堂跡の上に立っていること、創建時の塔の心礎が残っていること、そして後の時代のものながら塔(三重塔)が立っており、全国の国分寺の中でも創建時の国分寺をかなりよく引き継ぐお寺であるということができる。
拝観の環境
本堂内陣で拝観できる。
本堂の仏像は、中央に薬師如来坐像、その向って右に聖観音立像、左に阿弥陀如来像が安置され、 それぞれ厨子内で明かりに照らされて美しくおさまっている。
近くに寄って拝観できる。
仏像の印象
薬師如来像は像高約1メートル半の坐像で、一木造。
肉髻は高く、螺髪は小粒で、きれいに整っている。顔は丸い。まぶたと目の境に深い彫り込みが入って、大変印象的である。体は扁平であるが、用材の制約によるものであろうか。全体に平安時代後期の仏像らしい穏やかさがあるものの、一木造で造られているのは地方的な造像であるためか、あるいは飛騨地方では比較的大きな木材の入手が可能であったためであろうか。
阿弥陀如来像は像高約60センチの坐像である。
全体にバランスがよい。肉髻と地髪部の境が明瞭でなくニット帽をかぶっているようなタイプで、これは平安時代中期ごろの仏像によくみられる。螺髪は比較的大粒。目はややつりあがり、鼻は大きい。目鼻口が顔の中央に集まっているような造作である。
胸は大きく、厚くつくり、腰はしぼる。衣の襞(ひだ)はしっかりと刻まれ、下半身にはくっきり翻波式が出ている。足裏や衣の下のふくらはぎの張りは厚く表現される。とても魅力的な像である。
聖観音像は像高約2メートルの立像、一木造。
丸顔、ほぼ直立し、安定した姿の像である。頭上の化仏は可愛らしくつくられている。下半身の裳は大きく折り返す。衣の襞は全体に浅く、自然につけられている。腰のあたりの肉付きはよい。優美な姿の像で、もと国分尼寺の像だったという伝承をもつ。
その他1
このほか円空仏や、護摩堂本尊の不動明王像なども拝観できる。
不動明王像は像高110センチ余の立像で、なかなかバランスよい整った像である。台座に江戸時代中期の年記が書かれている。
その他2
飛騨国分寺の聖観音像のレプリカが、岐阜県博物館の人文展示室で常設展示されている。
さらに知りたい時は…
『仏像集成』2、久野健編、学生社、1992年
『岐阜県の仏像』、岐阜県博物館、1990年