美江寺の十一面観音像

  毎年4月18日開帳

住所

岐阜市美江寺町2-3

 

 

訪問日 

2011年4月18日 

 

 

 

拝観までの道

美江寺(みえじ)は岐阜市街にあるお寺。JRまたは名鉄の岐阜駅から、少し遠いが歩ける距離にある(金華橋通りを真北に約25分)。

または、岐阜バスで「市民会館、裁判所前」下車、北へすぐ。  

 

→  岐阜バス

 

本尊は毎年4月18日に開扉される。

 

美江寺観音

 

 

拝観料

志納

 

 

お寺のいわれ

天台宗の寺院。寺伝によれば、創建は奈良時代というが不詳。

岐阜県瑞穂市というところにも同名の寺がある。美江寺はもともとそちらにあり、戦国大名・斎藤氏の命によって移されて来たのが、現在の岐阜市内の美江寺。のちに信長が本来の地に美江寺観音堂を再建させたために、2つの美江寺が併存することとなったといういきさつらしい。

天平期(奈良時代)の秘仏十一面観音像を本尊とするのは岐阜市の方の美江寺である。

 

 

拝観の環境

本堂に接続して後方に設けられた耐火式のお堂に安置されていて、ライトもあり、近くより、よく拝観することができる。

 

 

仏像の印象

不思議な魅力の像である。

像高は約180センチの立像。脱乾漆の仏像である。

この技法は、たとえば木彫や石彫が見よう見まねでも場合により形になるのとはまったく異なり、高い技術と高価な原料を必要とする。

奈良の東大寺、興福寺などいくつかの寺院にある脱乾漆の名像がすぐに思い浮かぶが、逆に地方にある脱乾漆像は極めて少ない。

 

頭上面は、いくつかは亡失しているが、当初のものが残るのは貴重である。各面は面長で、それが真っすぐでなく花が開くようにしてついている。

目、鼻、眉は控えめな表現で、口はややへの字になり、顎は突き出し気味である。ほおから顎にかけてまだらに残る箔のせいもあって、はじめとっつきにくく見えるが、次第に味わいある、親しみやすい表情に見えてくるから不思議である。

 

胴は長く、腕も長いが、下肢は寸づまりに感じる。胸は豊かに表現する。裙の裾はぼってりと足にかかっている。

裙の折り返しの薄布の質感や、肩から下がる天衣の様子は優美に感じられる。

特筆すべきはアクセサリーで、天冠台から下がる装身具や胸の豪華な飾りは、この時代の仏像中もっとも華やかである。

 

 

 

さらに知りたい時は…

「美江寺蔵 乾漆造十一面観音立像」(『国華』1438)、 井上一稔、2015年8月

『仏像好風』、紺野敏文、名著出版、2004年

『天平』(展覧会図録)、奈良国立博物館、1998年

『岐阜県の仏像』、岐阜県博物館、1990年

 

 

仏像探訪記/岐阜県