東円寺の薬師如来像
「後ろ向き薬師」
住所
中津川市東宮町8-12
訪問日
2009年8月8日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
東円寺へは中央本線の中津川駅下車、東南へ徒歩15〜20分。
駅を出て左の「にぎわいプラザ」でアシスト付き自転車を無料で貸し出しているので、これで行くと楽。ただし、最後の数十メートルは急坂で、押さなくては上れない。
拝観は事前連絡必要。雨天時は不可となる。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれ
このお寺はもと木曽街道沿いにあり、街道の拡張にあたってこの場所に移って来たそうだ。
本尊・薬師如来像は、後ろ向き薬師と呼ばれている。お寺の前を馬で通ると必ず落馬するので、この像を本堂の後陣に後向きにまつったところ、落馬がなくなったという言い伝えからきているという。なんとも不思議な仏さまだが、それだけ霊験が強いと信じられてきたことを示すエピソードなのであろう。
現在は山門横の収蔵庫に安置されているが、その向きは今も山門や本堂と逆になっている。
拝観の環境
収蔵庫は外の光が入って明るいが、中に照明はない。午前中が光がよく入る。間近で、また横からもよく拝観できる。
仏像の印象
薬師如来坐像は像高50センチあまりの小さな像だが、本格的な定朝様式の仏像。丈六、半丈六といった大きな像と比べても遜色ないどっしりと落ち着いた像である。材はヒノキ。
穏やかな丸顔、肉髻はたいへん盛り上がる。姿勢よくゆったりとした上半身。膝は低いが左右への張りは十分で、安定感がある。
斜め下から仰ぎ見るとまた神々しい。
衣の襞(ひだ)は省略気味にあらわされている。
その他1
本堂内の近世の仏像も拝観させていただける。
80センチを越える大きな誕生仏は、近代初期の廃仏の際に移されて来たもの。日本一大きな誕生仏ではないかということである。そのほか、小像だが、准胝観音像や秋葉大権現像といった比較的珍しい仏像が安置されている。
その他2
薬師如来像のレプリカが、岐阜県博物館の人文展示室で常設展示されている。
さらに知りたい時は…
『飛騨・美濃の信仰と造形』(展覧会図録)、岐阜県博物館、2012年
『岐阜県の仏像』、岐阜県博物館、1990年
『中津川市の文化財』、中津川市教育委員会、1983年