青松院の十一面観音像
禅寺に伝わる平安仏
住所
甲府市山宮町3314
訪問日
2009年2月14日
この仏像の姿(外部リンク)
拝観までの道
甲府駅南口バスターミナル3番乗り場から山梨交通バス山宮循環に乗り、「山宮北」下車、すぐ。
仏像拝観は事前申し込みが必要。
→ 山梨交通
拝観料
志納
お寺のいわれなど
青松院は、室町時代後期に武田氏によって創建された曹洞宗のお寺である。あるいは前身の真言宗の寺院が戦国期に再興されて曹洞宗に転じたとも伝える。
農地改革の打撃もあって一時荒廃したが、先代のご住職が苦心して整備されたという。
門を入ると鎌倉・円覚寺の舎利殿を模した仏舎利殿が建ち、その後ろの法堂の裏には石と水のお庭があるが、これらも先代ご住職のお力でなったものであるそうだ。
甲斐国三十三観音霊場の第33番、すなわち結願の札所でもある。
拝観の環境
平安時代後期の十一面観音像と不動明王像は法堂内、正面に向って左側に安置されている。ガラス越しの拝観であるが、照明もあって明るく、よく拝観できる。
仏像の印象
十一面観音像は像高約1メートルの立像で、ヒノキの寄木造。もとは当寺の裏(北側)の片山にあったお堂にまつられていたと伝える。
大きな顔、切れ長の目、小さな口がかわいらしい印象を与える像である。なで肩で、下肢は細い。全体い体が傾いでいるのは、材の性質に起因するものか、または地方仏の素朴さによるものか、いずれにしても親しみを覚える。しかしやや斜めからは、なかなか威厳ある姿にも見える。
衣の襞(ひだ)は極めて薄く、平安後期の穏やかさをあらわす。
頭上面、天衣、足先に後補部分がある。
その他
その向って左側に立つ不動明王像はヒノキの一木造。像高は1メートル弱。腰をしぼり、バランスのとれた姿の像である。
なお、お寺の復興に尽力された先代住職は彫刻家でもあったそうで、堂内にはその方の作になる仏像も何体か安置されている。
さらに知りたい時は…
『山梨県史 文化財編』、山梨県 、1999年
『わが心の木彫仏』、 丸山尚一、東京新聞出版局、1998年
『信仰の美術』(展覧会図録)、櫛形町立春仙美術館ほか、1996年