永源寺の聖観音像
毎年3月第1日曜日に開扉
住所
中央市下河東880
訪問日
2009年3月1日
この仏像の姿(外部リンク)
拝観までの道
永源寺は山梨県中央市にある曹洞宗のお寺。最寄り駅は身延線の小井川駅で、東南東に徒歩20分くらいである。
聖観音像は境内の観音堂に安置されているが秘仏。3月第1日曜日の観音祭でご開帳される。
拝観料
特に定めなし
お寺や仏像のいわれ
永源寺は15世紀、武田氏家臣の加藤氏が開いた寺。しかしその草創はさらに古く、古代にまでさかのぼるとの伝もある。
山門の前の水路は、かつてこの地が加藤氏の屋敷であったその堀のあとともいう。
その後荒廃していたのを、近世に龍華院(甲府市)の愚庵宗智という僧が再興した。
秘仏の観音像の来歴は不詳。その姿から、もとは三尊像の脇侍であったのかもしれない。
拝観の環境
観音堂の中で拝観させていただける。
お堂の奥は土蔵のようなつくりになっていて、その入口が開かれていて、さらにその奥に厨子が置かれ、開扉されていた。内部には照明がつけられているが、そのような構造であるので、像までの距離がややある。
仏像の印象
像高は1メートル弱、ヒノキの寄木造。すらりと長身で、下半身が長い。腰をやや左にひねる。裙は大きく折り返す。肉付きの誇張がなく、衣の襞(ひだ)も浅く刻まれている。平安後期の穏やかで優美な作風である。ただし、表情は像までの距離がややあるため、分かりにくい。
垂下する天衣は後補。宝冠や胸飾りなど銅製の後補のアクセサリーがついていたが、戦前の修理で取り外されたのだそうだ。
指に一部欠損があるが、これは戦後まもなくの時期に盗難にあったときの損傷という。
その他
境内には石仏が多い。山門脇には珍しい愛染明王の立像の石仏もある。
さらに知りたい時は…
『山梨の名宝』(展覧会図録)、山梨県立博物館、2013年
『山梨県史 文化財編』、 山梨県、1999年