九品寺の阿弥陀三尊像
来迎のかたち
住所
笛吹市御坂町成田730−2
訪問日
2010年12月5日
この仏像の姿(外部リンク)
拝観までの道
山梨県立博物館から東へ徒歩10分〜15分くらいのところにあるお寺。
山梨県立博物館は、JR中央本線の石和温泉駅から東南に約2キロ半、徒歩約35分。
バスは石和温泉駅から県立博物館行き山梨交通バスがあるが、本数は少ない。駅前にはタクシーが常駐。
甲府駅からも県立博物館行き山梨交通バスか富士宮方面行き富士急バスがある。
拝観は事前連絡必要。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれ
鎌倉時代、時宗の寺院としてはじまった寺院。16世紀に兵火にあい、17世紀、浄土宗寺院として再興されたという。
本堂中央厨子内に、鎌倉時代の阿弥陀三尊像が安置されている。
拝観の環境
すぐ前からよく拝観できる。
仏像の印象
中尊の阿弥陀如来像は像高約1メートルの立像。割矧ぎ造、玉眼。
来迎印。親指と中指で丸をつくる、後世でいう下品中生印である。
顔は小さめだが、はちきれそうな丸顔。目鼻立ちはよく整う。肉髻は大きくあらわされる。胸、腹、もものどこをとっても誇張がないのだが、全体に肉厚で、どっしりとした存在感がある。
こうした約三尺の立像の来迎阿弥陀像は、「安阿弥様」などといわれることが多い。安阿弥陀仏、すなわち快慶はこの姿の阿弥陀像を多く造り、その軽やかな造形は彼の独壇場の感がある。しかしこの九品寺の像はやや違ったおもむきで、また別の魅力を放っているようにも感じる。
両脇侍は像高40センチ弱と小さく、ひざまづきながら、片足を立て気味にして、来迎の瞬間をあらわす。まげは高く結い、玉眼がすがすがしい。若々しい印象である。
中尊の手の指先が一部欠失、足先は後補、脇侍像の天衣は後補。
その他
山梨県立博物館は2005年の開館。常設展示室に仏像の展示(レプリカも含む)があるので、笛吹市を訪れた際には立ち寄ることをお勧めする。
筆者が行った日には、小金銅仏の観音像(像高約10センチ。白鳳期の作。甲府市東部の遺跡からの出土品。甲府市教育委員会蔵)や平安時代の蔵王権現像が展示されていた。
さらに知りたい時は…
「ほっとけない仏たち29 九品寺の阿弥陀三尊像」(『目の眼』499)、青木淳、2018年4月
『大本山光明寺と浄土教美術』(展覧会図録)、鎌倉国宝館、2009年
『祈りのかたち』(展覧会図録)、山梨県立博物館、2006年
『山梨県史 文化財編』、山梨県、1999年