西長寺の阿弥陀如来像
「日見の大仏」
住所
周防大島町日見973
訪問日
2012年7月22日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
周防大島は淡路島、小豆島についで、瀬戸内海で3番めに大きな島である。屋代島ともいうらしい。
本州からの距離はわずか2キロ。しかしその間の潮流は早く、水運の難所であった。また古代より荘園がたてられていたことが知られる。
現在は、山陽本線の大畠(おおばたけ)駅の近くで大島大橋が架けられている。
西長寺は島の西南部にあり、大畠駅からバスが出ている。町立橘病院前行き防長バスで約30分、「日見」下車、東へ徒歩約10分。バスの本数は日中1〜2時間に1本程度。下車すると大きく案内板が出ている。
拝観料
志納
お寺のいわれ
西長寺は真言宗寺院で、空海によって開かれたと伝える。本尊は不動明王像。
拝観の環境
境内の南側の丈六堂に、平安時代後〜末期ごろの阿弥陀如来坐像が安置されている。
以前は本尊のお不動さまの縁日である毎月28日にこの丈六堂も開扉されていたが、2011年の東日本大震災を機に、基本的に毎日開扉するようにしたのだという。ただ、お寺にもご都合があると思うので、念のために連絡をしてからうかがうのがよいとは思う。
閉まっているときでも窓越しに拝観できるが、やはり堂内にいれていただくととてもていただくとよく拝観できる。側面の様子もよくわかる。
仏像の印象
阿弥陀如来坐像は、像高約285センチの堂々たる丈六像である。「日見の大仏」とも呼ばれる。寄木造、彫眼で、手は来迎印を結ぶ。
目をとても大きくあらわし、螺髪の粒はやや大きめ、顔は面長で、一世を風靡した定朝様の像とはややおもむきを異にする。肉髻や額は大きく、顎は小さめ。衣の襞は浅い。面奥や胸の厚み、膝のつくりなどは控えめである。中央の像を写しながらも、地方的な味わいのある像である。
お堂は西面している(やや南に寄る)。仏像は南面して安置されることが多く、阿弥陀仏の場合は西方極楽浄土の教主ということで、東面して置かれることもあるが、西面しているのは珍しい。お寺の立地として、東側の高い地形を背に、海に向けて開けている方に向いているということなのだろうが、私たちの極楽浄土へのあこがれを受け入れて、共に西を向いてくださっているようにも感じる。
正面は瀬戸内の海で、私がお訪ねした7月の夕べはまだ日も高かったが、11月や2月の晴れた夕方には、海が茜色に染まるのだという。
その季節に再訪したいものだと思った。
さらに知りたい時は…
『国宝重要文化財仏教美術 中国』3、奈良国立博物館編、1977年