常楽寺の聖観音像・十一面観音像
年一度、4月18日に開帳
住所
富山市婦中町千里6522
訪問日
2009年4月18日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
常楽寺は富山から高山本線で約20分、千里(ちさと)駅で下車し、西へ25分から30分くらい歩いたところにある。
バスは婦中コミュニティバス・西ルートの「丘の夢牧場口」が近いが、本数は多くなく、また土・日は運行しない。
このお寺には2躰の秘仏が伝えられている。ともに観音堂に安置される。本堂横の坂道を稲荷社の鳥居のある方へと登って行くと、最後は石段となる。登りきったところに観音堂があり、その奥が耐火式になっていて、1年に1度、4月18日に一般に公開される。
13時から法要、そのあとお坊さんの講話があって、14時すぎから仏さまの前に進むことが許され、それが一段落したらもう閉堂となる。参拝の皆さんの多くはこの年1度の行事をとても大切にされているようで、とてもすがすがしいご開帳である。
*友人から情報だが、その日以外でも事前連絡で拝観可能なこともあるとのこと。
拝観料
特に拝観料等の設定はなかった。
お寺のいわれ
古代草創、往時は七堂伽藍を備えた大寺であったというが、不詳。戦国時代の戦火で焼かれて衰亡し、富山藩によって再興された。
戦前、2躰の観音像が国宝(現・重要文化財)指定を受け、北陸観音霊場として次第に賑わいを取り戻し、地元の方や信者の方の熱意によって今日のような寺観が整えられた。
拝観の環境
堂内は明るく、近くに寄って、また側面からもよく拝観できる。ただし、限られた時間に大勢の人が拝観するので、じっくりとというのは難しい。
仏像の印象
2躰の仏像のうち、向って左側に安置される十一面観音像は180センチ余の大きさの立像で、スギの一木造である。全身に傷みが進んでいて、年輪が浮き出るように見える。頭上面もほとんど形だけになっている。両手など後補。
しかしそれにもかかわらず大変魅力的な像である。とにかく体躯が太い。顔の奥行きも大変深い。下肢の衣も深く刻まれる。平安後期時代に入っての作なのかもしれないが、平安前期の力強い一木彫の魅力を受け継ぎ、また地方作の豪放さを併せ持つ像と思う。
一方、向って右側に安置されるのは聖観音像である。像高180センチ余の立像で、センダンの一木造という。頭部はやや小さく、なかなかバランスよい像である。側面からはお腹を丸くつくっている様子がわかる。ほぼ直立するが、やや腰をひねる。顔はなかなか厳しく、細くつり上がった目、しっかりととじられた口がなかなかのもの。衣の襞は端々に重ね、折り返される様子に細かな注意が払われている。手、足先など後補。
さらに知りたい時は…
『富山県史 通史編1』、富山県、1976年