富沢大仏

  肉厚に彫られた阿弥陀さま

住所

柴田町富沢岩崎山

 

 

訪問日 

2008年7月21日 

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

柴田町ホームページ・町の文化財

 

 

 

拝観までの道

富沢(とみざわ)大仏は、東北本線の槻木(つきのき)駅の北、直線距離にして3キロくらいのところにある。

改札口を出て、線路沿いに北東(仙台方面)へ、最初の踏切を渡り、北西から北の方角へ進む。道の左右は田んぼで何の目印もないが、次第に両側から丘陵が迫ってきて、踏切から35分くらい歩いたところで小さな十字路を右折。突き当たりすぐ左に、富沢大仏の覆い屋である小さなお堂とその前の杉の大木がある。

単純な道筋だが、案内板等何もないので、タクシー(駅前に乗り場があり、常駐している)を使うことをお勧めする。5分強、1,000円余の時間と料金で到着する。

 

 

拝観料

拝観自由

 

 

仏像のいわれ

「大仏如来」と通称されている富沢大仏は、阿弥陀如来像である。

凝灰岩の崖を彫り込んで龕をつくり、そこに肉厚に彫られている。この崖は、阿武隈川の北岸から伸びてきた平野部と、北西の奥羽山脈に連なる丘陵地帯とが接し、明るい色をした岩壁が見えている。この岩肌に霊的なものを感じたのであろうか、中世の磨崖仏群および近世の石仏が多く並ぶ。

富沢大仏の覆い屋に向って左側には数体に磨崖仏が見え、また、さらに左の方に進むと如意輪観音と見える半跏像があって、磨崖仏群を形成しているが、小堂で守られている富沢大仏以外は残念ながら摩滅が進んでいる。

 

富沢大仏の左右には鎌倉後期の1306年の年と、施主の名前、父の供養のためという造像の目的が刻まれているが、その他の像についてはいわれ等不明である。

 

 

拝観の環境

覆い屋の窓からいつでも覗けるようになっている。像は鮮やかな白色で、窓から上半身に光が入ってよく見えるが、残念ながら下半身は見づらい。また、銘文も堂の外からでは判然としない。

像は西面しているので、晴れた日、夕日が入ればまた格別と思う。

 

 

仏像の印象

顔は大きく、特に鼻や耳は大きく、堂々としている。螺髪(らほつ)も大きく作り出されている。全体に四角張った印象で、衣は通肩に表される。いかにもこの地域に根ざした石仏という感じで、魅力ある像と思う。

 

 

さらに知りたい時は…

『日本の石仏200選』、中淳志、東方出版、2001年

『磨崖仏紀行』、邊見泰子、平凡社、1987年

 

 

仏像探訪記/宮城県