東明寺の薬師如来像
エキゾチックな雰囲気のある古仏
住所
大和郡山市矢田町2230
訪問日
2017年6月17日
この仏像の姿は(外部リンク)
大和郡山市・文化財
拝観までの道
近鉄郡山駅のバスターミナル(近鉄郡山駅を下車し北東へすぐ)から矢田寺行きか大和小泉駅行きバスに乗車し、「横山口」で下車。北西に徒歩約30分。
また、矢田寺の北側の拝観入口から北へハイキングコースのルート(近畿自然歩道)でも行ける。20分くらい。アップダウンがあるが、緑の中の気持ちのよい道で、標識も整備されてわかりやすい(ただし、地図は持つ方がよい)。
拝観は事前連絡必要(毎月21、28日は不可とのこと)。なお、毎年6月上旬には予約なしで拝観できる期間を設けているようだ。
*東明寺ホームページ
拝観料
300円
お寺や仏像のいわれなど
東明寺(とうみょうじ)は、大和郡山市北西部、矢田丘陵の人里を離れた静かな環境の中にたたずむ古寺。
寺伝では7世紀末に天武天皇の皇子である舎人親王によって創建されたという。
真言宗の寺院。
拝観の環境
内外陣を区切った密教式の本堂。
外陣からの拝観となるため、若干仏像まで距離がある。
堂内はライトがあり明るい。一眼鏡のようなものがあればなおよい。
仏像の印象
中央の厨子の中に薬師如来像、向かって右側に吉祥天像、向かって左側に毘沙門天像がならび、いずれも平安時代の仏像である。
薬師如来像は像高1メートル弱の坐像。一木造。樹種はカヤであるという。
地方的な造像というべきか。ユニークでとても魅力的な像である。
肉髻は高く、螺髪の粒はきれいに揃う。体に対し、頭部は小さめである。額は狭めで、目は比較的大きく開く。二重まぶた。あごはしっかりとつくる。ほおは張って、口は小さめ。
茫洋として、どことなくエキゾチックな印象がある。新薬師寺の薬師如来像とどこが似ているというわけではないが、何となく近い雰囲気がある気がする。
怒り肩で胸を大きくとり、胴を強くしぼる。また左の肘をぐっと張るのもアクセントとなっている。
膝の張りは大きいが、脚部の起伏は乏しい。組み方は右足が上。
古式な板光背が付き、赤外線撮影をすると細かで豊かな文様が見えるそうだが、一眼鏡でも部分的に模様が見える。
毘沙門天像と吉祥天像について
毘沙門天像は像高約160センチの立像。スリムな体と穏やかな立ち姿、そして渋い顔つきが特徴的である。目は小さく、口は小さく開き、目とほおの間に陰刻線が入るもの面白い。
鎧も派手ではないが、ていねいに作り込まれている。
吉祥天像は像高約90センチと小振りな立像である。
たっぷりな髪を後方でかわいく結う。顔つきはやや硬い感じだが、落ち着いた顔つきが魅力的。また、たっぷりした上半身と装飾的な下半身の衣が印象的である。
さらに知りたい時は…
『古佛(新装版)』、井上正、法蔵館、2013年
→ 仏像探訪記/奈良県