王龍寺の十一面観音像

磨崖仏の基準作例

住所

奈良市二名6-1492

 

 

訪問日 

2019年3月10日

 

 

 

拝観までの道

奈良市でもっとも西側の二名町というところにある。すぐ西側は生駒市である。

交通は生駒駅南口から東生駒駅を通り、あすか野センターまで行く奈良交通バス(65系統)に乗車し、「あすか野南三丁目」で下車、南へ徒歩5分ほどでお寺の門に着く。ただしバスの本数は多くはない。

門から本堂までは、緑の中、石段をかなり登る。

 

拝観は、事前にお電話を入れたところ、たいてい誰かいるので対応できるということだったが、事前予約をする方がよいかもしれない。

 

王龍寺ホームページ

 

 

拝観料

拝観料の設定は特になかった。

 

 

お寺や仏像のいわれなど

黄檗宗寺院で、本堂は江戸時代のもの。

大和郡山の藩主となった本多忠平がその菩提寺として創建させたという。

本尊は花崗岩に彫られた磨崖仏で、それが堂内に取り込まれている。

 

 

拝観の環境

堂内には明かりもあり、お堂の入口からもかろうじて覗ける。しかし、お願いして堂内で拝観させていただくとよい。

 

 

仏像の印象

本尊の彫られている岩は縦横各5メートルほどもある大きなもの。中央に十一面観音像が、向かって右側には不動明王像が半肉彫りにつくられている。ともに立像だが、十一面観音像は像高が175センチ、一方の不動明王像は85センチと大きさに差があり、像の雰囲気もシャープな十一面観音に対して不動明王の方は引き締まった感じがない。不動明王像の方は追刻、すなわち十一面観音像よりもずっとあとになって付け加えられた像である。

この2像には、彫られた年代がわかる陰刻がある。すなわち、十一面観音像の脇には南北朝時代の1336年を示す年が刻まれ、不動明王像の脇には室町時代後期の1469年の年が書かれている。

年代がわかる石造仏として貴重である。

 

十一面観音像は蓮華の上に立ち、舟形の光背の形に彫りくぼめられた中に刻出されている。

目鼻耳を大きくつくって、とても印象深い顔立ちである。

頭上面は重なりあわないように、上手に配置されている。頂上の仏面は女神像のような美しさが感じられる。

左手は蓮華をいけた水瓶を持ち、右手は下げて、てのひらをこちらに向けている。

頭部に対して体部はやや縮こまっているような、硬い印象があるが、総体としてはとても美しいお姿の像である。

 

 

さらに知りたい時は…

『日本の石仏200選』、中淳志、東方出版、2001年

『奈良県史』7、奈良県史編集委員会、名著出版、1984年

 

 

仏像探訪記/奈良市