神峯山寺の阿弥陀如来像

山中の寺にまつられる平安仏

住所
高槻市原3301-1


訪問日 
2024年5月19日


この仏像の姿は(外部リンク)
神峯山寺・仏像たち



拝観までの道
神峯山寺(かぶさんじ)は高槻市北部の原地区にあり、京都の西山から連なる山の中にある。
JR高槻駅北口1番バス乗り場から高槻市営バス53系統原大橋行きに乗車し、「神峰山口」下車、東へ徒歩15~20分。
バス停から東側に向かう道はまもなく上り坂となる。数分行くとおそばやさんがあり、案内表示に従い、その右側の細い道を行く。この道は整備されているが山道で、途中イノシシが里に下りて来ないような工夫がしてあり不安にもなったが、あとでお寺でも聞いたところ、大丈夫とのこと。
やがて舗装道路と合流する。結界を示す門をくぐり(勧請掛というらしい)、新名神高速の上を行くと、そのあたりからは平坦になって、やがて神峯山寺の山門に着く。
山門の先、左右にはしめ縄を張ったいわくありげな岩が立ち、空気も澄んで、清浄や山寺の風がある。さらに進むとお堂や子院が並ぶ。そのまままっすぐ行った左側の宝塔院が総合案内所(受付)になっている。

仏像拝観は、祈願、お札の授与、お寺の縁起説明、お茶の接待とセットになって、「拝仏」として受け付けている。事前連絡で日時を調整する必要あり。所要時間は1時間強。


拝仏料
2500円


お寺や仏像のいわれなど
天台宗寺院。
役行者が開き、光仁天皇の皇子である開成皇子中興と伝え、日本ではじめて毘沙門天がまつられたところとして、山号を根本山としている。
本尊は3体の毘沙門天像で、すべて秘仏。本堂中央厨子内の毘沙門天像、本堂と接続してつくられた耐火建物内に安置されている双身毘沙門天像、さらにその奥の収蔵庫内の壇中央にまつられている兜跋毘沙門天像である。


拝観の環境
ご祈祷、お寺の縁起説明のあと案内される収蔵庫で平安時代の仏像3体を拝観することができる。すぐ前から拝観できる。


仏像の印象
阿弥陀如来像は兜跋毘沙門天像厨子に向かって左側に安置されている。平安時代中期から後期にかけての作で。像高約80センチの坐像。一木造で内ぐりもない古様なつくりの像である。来迎印を結び、左足を上にして座る。
肉髻は低め。眉は高々とはあげないが、しっかりした弧を描き、まぶたのふくらみもよくあらわされている。鼻筋はとおり、鼻と口は近く、あごは小さめ。全体に明るく、はっきりしたお顔だちである。
なで肩だが、上半身は堂々と大きく、姿勢がよい。脚部は左右に大きく張って、安定感がある。衣のひだはそれほど深くないがしっかりと刻まれ、腕、腹、ひざなどをしっかりとくるんでいる感じが伝わる。


2体の聖観音像について
厨子に向かって右側に安置される2体の聖観音像は、ともに像高100センチ余りの立像。ヒノキの一木造。
2像のうち向かって右に立つ像が少し古く、11世紀頃の作とされる。大きな宝冠、直線的な目など、古風である。大きくつくられた胸、長く伸ばす右手、折り返した裙(腰布か)も素朴で親しみが感じられる。
滋賀の大野神社に伝わる十一面観音像と共通するところがあるという。
一方、左の像は12世紀の像と考えられている。頭部は小さめで、やや前に突き出す。小さく結われた髪や省略気味の衣も地方的な素朴さがある。


さらに知りたい時は…
『高槻の仏像』、高槻市立しろあと歴史館、2020年


仏像探訪記/大阪府