往生院六萬寺の仏像
1月1日に仏殿開扉
住所
東大阪市六万寺町1-22-36
訪問日
2016年1月1日
拝観までの道
最寄り駅の近鉄奈良線の瓢箪山駅から東南に徒歩約30分。または瓢箪山駅と河内山本駅を結ぶ近鉄バスで「下六万寺一丁目」下車、東へ徒歩15~20分。次第に上り坂が急となるなかなか険しい参道を行く。
このお寺には数躰の平安仏が伝えられている。
本堂の裏手にある仏殿に安置され、1月1日の日中のみ開扉される。
お寺の門の手前に掲示があり、「拝観寺院ではありません」と書かれている。観光気分でなく、あくまで参拝するという気持ちで。
拝観料
特に拝観料等の設定はなかった。
お寺や仏像のいわれなど
このお寺は、極楽の東門につながるとされた大阪・四天王寺のさらに真東にあたる場所にあるという。
平安時代に安助(あんじょ)上人が建てたと当時の『往生伝』(極楽往生を遂げた人物たちの伝記集)に記される。
拝観の環境
門をくぐると右手に「今日は本堂の裏の仏殿が開かれています」と案内表示があり、それに従って行くと、仏殿の前に出る。
扉口からの拝観。
仏像の印象(2躰の阿弥陀来像について)
仏殿中央には来迎印の阿弥陀如来像を中尊とする三尊像、向かって右手前に定印の阿弥陀如来像、左手前に十一面観音像が安置されている。
定印の阿弥陀如来像は像高約1メートルの坐像で、一木造。雄渾で魅力的な仏像である。太い螺髪の粒、目、口は大きく、力強い表情を見せる。上半身、高くあらわした膝、力強くあらわしたひだはすばらしい。
来迎印の阿弥陀如来像はやはり像高1メートルほどの坐像だが、こちらは寄木造。衣のひだは流麗に流れ、上半身は高く、脚部は比較的小さい。伏し目がちとし、目・鼻・眉は寄っていて、優しい表情の中にきびしさが覗く。
脇侍は像高約110センチの立像。高さも揃い、雰囲気も似るが、腰のひねりや裙の流れに違いがあり、構造も異なっているようだ。この三尊はそれぞれ別の時期につくられたものであるかもしれない。
十一面観音像について
十一面観音像は像高約150センチの立像。カヤの一木造。内ぐりもない古様なつくりの像である。
顔がかなり小さくつくられているのは、あとの時代に手がはいっているからなのかもしれない。
体は平安時代前期の風をよくあらわし、魅力的な仏像である。
高めの位置でぼてりと肉のつきをあらわした胸、右脇腹の比較的高めの位置で幅広に胴をまく条帛、下半身は太く、裙の衣はひだをしっかりとあらわし、翻波式衣文も見られる。
さらに知りたい時は…
『東大阪市の歴史と文化財(改訂版)』、東大阪市教育委員会、2003年