広智寺の多臂観音像
生気に満ちた名像
住所
高槻市天神町2丁目1-3
訪問日
2024年1月18日
この仏像の姿は(外部リンク)
関西テレビ・ほとけんさく
拝観までの道
広智寺(廣智寺)は、JR高槻駅北口から北へ5分ほど行った突き当たり(天神町1丁目の信号、北側に上宮天満宮という立派な神社がある)で左折し、西へ100メートルほど行くと北側に入口がある。階段を上がると、正面が本堂である。
拝観は事前連絡必要。なお、日曜日は行事が多く、受けられないことが多いということだった。
拝観料
拝観料などの設定は特になかった
お寺や仏像のいわれなど
黄檗宗寺院。
寺伝によれば聖徳太子創建という。16世紀に高槻城主となったキリシタン大名の高山右近によって迫害を受け、江戸時代前期に城主となった永井直清が夢で聖徳太子のお告げを受けて再建したとされる。
本堂壇上に安置される多臂観音像は、長らく6臂の十一面観音像としてまつられてきたが、1991年からの解体修理によって頭上面は江戸時代に付け加えられたもので、腕はもともと8本であったことがわかり、本来は不空羂索観音であったと知られた。
拝観の環境
堂内で拝観させていただける。
仏像の印象
カヤの一木造で、内ぐりもない古様なつくり。造像年代は8世紀(奈良時代後期)にまでさかのぼるものと考えられている。
この像の魅力は、像から立ち上ってくる気迫が非常に強く感じられることである。特に、上半身がぐぐっとこちらへと距離を詰めてくるかのようである。このような像にはそうそう出会えない。本当にすごい仏像と思う。
修理前はかなり傷んだ姿であったらしいので、あるいは修復が非常にすぐれたものであったということかもしれないが、とにかく魅力的である。正面で姿勢を少し低くして拝観させていただくと、また格別である。
ほおは丸まると張り、目は見開きを大きくとる。眉は美しく弧を描く。口もとはきびしく引き締めている。優しいというよりは、威厳ある顔立ちといえる。額の髪束の上にのるのは天冠台と思うが、大きく存在感がある。
首は短く、上半身はどっしりして、下半身は長い。バランスよい体つきである。
右足を少し遊ばせ、腰を左側にひねるが、その動きは控えめで、直立に近い。
衣のひだは浅めだが、両足間の裙の打ち合わせは細かく豊かな装飾性がある。また渦巻きの文も刻まれる。
天衣は膝のあたりを反転しながら横切る。
さらに知りたい時は…
『高槻の仏像』(展覧会図録)、高槻市立しろあと歴史館、2020年
→ 仏像探訪記/大阪府