等覚院の阿弥陀如来像
定朝様を受け継ぐ鎌倉仏
住所
東松山市大字古凍536−1
訪問日
2010年7月17日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
等覚院(とうかくいん)は東武線の東松山駅の東南3〜4キロ、国道254号線の古凍(ふるごおり)交差点のそばにある。
東松山駅と川越駅を結ぶ東武バス(八幡団地経由)で、「古凍」下車、徒歩5分。バスの本数は1〜2時間に1本程度。
→ 東武バス
拝観には予約が必要。
拝観料
志納
仏像のいわれ
等覚院は天台宗の寺院。
このお寺の阿弥陀如来像は、もと近くにあった慈雲寺に伝わった像といわれる。境内の阿弥陀堂に安置されてきたが、近世や近代に火災にあい、脇侍は失われてしまった。
拝観の環境
阿弥陀如来像は収蔵庫中に安置され、拝観は入口から。やや距離があるが、外の光が入って、よく拝観できる。
仏像の印象
像高は90センチ弱の坐像。ヒノキの寄木造、彫眼。
定朝様式を受け継ぐ安定感ある像だが、鎌倉時代に入っての作と考えられている。
手は来迎印を結ぶが、手先や膝前の裳などは後補という。また、目も後世描かれたもので、若干違和感を感じる。
顔は全体のバランスとしては大きく、肉髻も大きい。螺髪は小粒で美しく整い、髪際は真っすぐである。目鼻立ちはくっきりして、頬から顎にかけて引き締まり、若々しさが前面に出て、いかにも鎌倉仏らしい。
衣文の流れはきれいだが、やや形式的になっている感がある。膝の左右への張りはやや控えめ。
像内の銘文について
像内に銘文があり、鎌倉中期の1253年に定性が修理したという。この定性は、隣の滑川町の泉福寺の阿弥陀三尊像を1254年に修理した定生房と同一人物と考えられている。彼については他に知られることはないが、この地域で活動した在地の仏師であろうか。
さらに知りたい時は…
『さいたまの名宝』、埼玉県立博物館、平凡社、1991年
『仏像ー東松山市仏像調査報告』、東松山市教育委員会、1985年