浄山寺の地蔵菩薩像
2月24日と8月24日に開扉
住所
越谷市野島32
訪問日
2020年2月24日
この仏像の姿は(外部リンク)
越谷市・文化財・浄山寺の地蔵菩薩立像
拝観までの道
東武鉄道の越谷駅西口より岩槻駅東口行き朝日バスに乗車し、「野島」下車。北へ徒歩約5分。
本尊の地蔵菩薩像は、毎年2月24日と8月24日の2日間開帳されている。
拝観料
拝観料等の設定は特になかった。
お寺や仏像のいわれなど
浄山寺は野島地蔵尊と呼ばれる。
もとは天台宗寺院として慈福寺と称していたが、江戸時代に曹洞宗に転じ、浄山寺と改名して今日に至る。
江戸初期に徳川家康が本尊の霊験を聞いて参拝し、朱印状を交付して石高を与えたという。その時の書状が本堂内に展示されている。
本堂は江戸末期の再建。
拝観の環境
本堂壇上のガラスケース中に安置される。
お堂正面に向かって右側の玄関から入る。
堂内、近くよりよく拝観させていただけた。
仏像の印象
本尊の地蔵菩薩像は像高約90センチ。カヤかと思われる針葉樹材を用いた一木造である。内ぐりのない古様なつくりをしている。平安時代前期の作で、地蔵菩薩の古例として貴重である。手先、足先などは後補。
本像は以前から知られていたが、秘仏ということもあり、十分な調査が行われず、平安期の像とはまったく考えられていなかったそうだ。
この像についての見方が大きく変わったきっかけは、2011年の東日本大震災で修理が必要になったことである。調査の結果、平安時代前期にさかのぼる古像であるとされ、2016年度に重要文化財に指定された。
体つきはずんぐりとしているが、下肢はぐっと細くしぼる。
顔つきは独特で、まず眉はやや立体的に彫り出し、高々と弧を描く。目の見開きは大きめで、まぶたのふくらみは自然にあらわす。鼻・口は小さめで、上唇を突き出すようにしている。
衣は賑やかにひだを刻む。胸や両腿の厚みを強調し、股間はくぼめて、U字形のひだを繰り返しつくる。小像であるが希有壮大な風があり、奈良県・笠区の薬師如来立像に近い雰囲気がある。
さらに知りたい時は…
『月刊文化財』633、2016年6月
→ 仏像探訪記/埼玉県