毛呂山町歴史民俗資料館寄託の如来坐像
桂木寺の仏像

住所
毛呂山町大類535
訪問日
2010年10月31日
資料館までの道
毛呂山町(もろやままち)歴史民俗資料館は、東武越生線の武州長瀬駅から徒歩約30分。
駅から北東へ10分強歩くと、県道39号(川越坂戸毛呂山線)に合流するので、それをさらに北東へ。
駅前にはタクシーが常駐。また、町の循環バスもある。
この資料館には、桂木寺(けいぼくじ)の如来形坐像が寄託されている。
普段は展示されていないが、春、秋にそれぞれ1ヶ月半程度特別展示されることになっているようだ(2024年春の場合、3月16日~5月12日に展示、展示期間は、毛呂山町歴史民俗資料館のお知らせページにて国告知される)。
月曜日は休館。
入館料
無料
仏像のいわれ
桂木寺は町の北西部の丘陵地帯にある寺院。古くから山岳仏教が根付いていたところらしい。近世の史料によれば、桂木の名前は近畿の葛城山に似ているとして行基によってつけられたとされる。
本像はその本尊で、寺では釈迦如来像と伝える。
1980年に埼玉屈指の古仏であることが見いだされ、その後毛呂山町の資料館に寄託され、修理も行われた。
展示の環境
独立ケースで展示されていたので、四方からよく見ることができた。
仏像の印象
像高約75センチの坐像。カヤの一木造で、後頭部、背中、像底から内ぐりされている。10世紀の仏像と考えられている。
螺髪は大粒。ニット帽をかぶっているようで、肉髻と地髪の境は明瞭でない。
目はかなりしっかりと開いて、斜め下を見る。顔は彫りが深く、きりりとしている。
怒り肩で、体全体が四角張っているような感じ。手はややぎこちなく突き出す。しかし姿勢がよく、胸や腹は自然なふくらみを見せる。
衣の襞(ひだ)は浅く、背面は省略ぎみである。しかし、腕にかかる衣の線など雄渾さも見られる。胸、腹をしっかりと覆い、あまり肌を出さない。
脚部はやや小さい。
古代彫刻の格調と力強さが同居し、そこに地方的な素朴さが加わった優れた仏像であると思う。
修復によって、全体に古色の黒っぽい色あいの像に仕上がっている。足裏にわずかに金が見えるが、後補の彩色を取り除いたときに出て来た当初の色であろうか。
さらに知りたい時は…
「桂木寺蔵 木造伝釋迦如来坐像」(『国華』1401)、岩佐光晴、2012年7月
『埼玉の仏像巡礼』、青木忠雄、幹書房、2011年
『毛呂山町の寺を訪ねて』、岡野恵二、1999年
『毛呂山町の文化財』、毛呂山町教育委員会、1993年
「毛呂山桂木寺の如来形坐像について」(『埼玉文化史研究』12)、青木忠雄、1980年
