飯尾寺の不動明王像
年に数回開扉
住所
長柄町山根821
訪問日
2010年3月20日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
千葉県のちょうど真ん中あたりにある長柄町(ながらまち)の東部にあるお寺。
JR外房線茂原駅南口から和楽の郷、長柄中下方面行き小湊バスに乗車し15〜20分、「福島孝徳記念クリニック前」で下車し、徒歩約20分。バスの本数は1時間に1本程度。
→ 小湊バス
バスの進行方向へ200メートルくらい行くと左側にガソリンスタンドがあるので、そこを左折。さらに1キロほど行くと、右側に飯尾寺を示す看板(ただし消えかかっているので注意)があるので、そこを右折するとまもなく山門が見えてくる。
本堂は、大晦日から正月、春秋の彼岸、お盆、秋の「お会式(祖師・日蓮の命日)」に開扉される。ただし開堂はあくまで法要のためのもので、拝観はその前後の時間に、事前連絡してうかがえば可能。住職はご兼務であり、余裕をもって往復はがきでお願いするのがよいようだ。
拝観料
志納
お寺のいわれ
「飯尾のお不動さま」と呼ばれ、特に近世には海難救助に霊験があるとして房総の漁師からの尊崇厚かったそうだ。しかし、創建や造像の事情等は不詳。
鎌倉初期、文覚上人が刻んだ不動霊像をこの地域の領主・飯尾氏が得てまつったとの寺伝があるが、飯尾氏や飯尾寺が史料に現れるのはもっとあとの時代である。南北朝時代の日蓮宗僧侶、日什(にちじゅう)により日蓮宗寺院として整備されたとも伝える。
かつては数百メートル離れた場所にあったというが、近代初期に一時廃寺とされ、その後不動堂(もと飯尾氏の私堂だったという)を本堂として存続したという。
拝観の環境
本堂中央には日蓮像と二仏をまつり、不動明王像は本尊に向って右側の厨子内に安置される。
その前には飾り物などが置かれ、やや拝観しにくいが、顔つきや上半身の様子などはわかる。
仏像の印象
像高約85センチの坐像。ヒノキの寄木造、玉眼。鎌倉期の作。
眉を吊り上げ、眼をむき出し、牙をむく恐ろしい形相だが、どことなくユーモラスな表情で、親しみを感じるお不動さまである。髪はいく筋かに分けながらバックへとダイナミックに流す。
上半身は高く、胸の下で一度絞って、その下は腹部がぷっくりと出る。
1961年に修理し、その際に像内から巻子本が見つかった。中は不動明王の種字(しゅじ、仏をあらわす梵字)「カーン」が3万字以上筆写され、広げると15メートルもの長さのものとのこと。
その他
本堂前の石の狛犬は、1670年(江戸前期)の年記をもつユーモラスな像。
本堂内には「波の伊八」として知られる有名な彫刻師による欄間彫刻がある。
さらに知りたい時は…
『東上総仏像彫刻の美』(展覧会図録)、睦沢町立歴史民俗資料館、1997年
『解説版 新指定重要文化財3、彫刻』、毎日新聞社、1981年
『長柄町の文化財』、長柄町教育委員会・長柄町文化財審議会、1980年
『長柄町史』、長柄町史編纂委員会、1977年