永興寺と延命院の仏像
端正なお姿の中世仏
住所
成田市寺台560(永興寺)
成田市幡谷1306(延命院)
訪問日
2012年6月24日
永興寺について
永興寺(ようこうじ)は、曹洞宗の寺院。
JRまたは京成電鉄の成田駅から北東、徒歩20〜25分、成田山新勝寺の東側にある。室町時代前期の創建と伝え、本尊は地蔵菩薩。剣豪・小野忠明(徳川将軍家剣術指南役)ゆかりの寺でもある。
拝観は事前連絡が必要。志納。
永興寺の聖観音像
このお寺に客仏としてまつられる聖観音像は、像高約50センチの坐像。カヤの割矧(わりは)ぎ造、玉眼。
関係寺院が廃絶したため、移されてきた像とのこと。本堂の裏に接続する位牌堂にまつられている。
近くに寄って、よく拝観させていただけた。
左手に蓮華の茎(亡失)を持ち、右手をその蓮華に近づける姿の像である。冠と胸飾りは後補。また、光背や台座も失っているが、全体的に保存状態はよい。
顔はきりりと引き締まり、上半身はやや高めに、それを支える脚部は自然な雰囲気で、たいへん落ち着いた、安定感ある像である。
像内に1399年と1408年をさす銘が残る。1399年の方は「奉修造聖観音」とあり、造像銘か修理銘か、にわかには決しがたい。願主の名も書かれているが、解読不能。1408年の銘の方に「成田郷」の地名が記され。これは「成田」の初出となる史料であるそうだ。
延命院について
延命院は、JR成田駅から成田線でひとつめの久住(くずみ)駅より東北方向に徒歩約15分。
真言宗寺院。もとは不動明王を本尊とし、地蔵堂や妙見社が建ち並ぶお寺だったそうだが、火災などのために衰退して、今は地蔵堂のみ残る。一軒の檀家さんで守っているそうだ。
本尊・地蔵菩薩像は、縁日である毎月24日に開扉し、成田山のお坊さんが出張して法要を行っている。
13時半すぎに開扉し、14時から法要なので、この間の時間に到着するように行くと、拝観させていただける。志納。問い合わせ先は、成田市教育委員会(生涯学習課)。
延命院の地蔵菩薩像について
本尊は像高約75センチの立像。カヤの寄木造で、彫眼。宝珠と錫杖を持つ通例の地蔵像である。
鎌倉時代ごろの作で、穏やかな雰囲気の像。落ち着いた中に、衣は両方の襟元にたるみをつくるなど、装飾性も見られる。
衣の襞(ひだ)は浅く、とても美しい流れをみせる。また、腕から下がる衣は薄く、軽やかな感じが出ている。
さらに知りたい時は…
『成田市史 中世・近世編』、成田市史編さん委員会、1986年