宝聚寺の釈迦如来像
衣がとてもユニーク

住所
山武市川崎108
訪問日
2019年3月30日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
JR線の成東駅の北北西。交通は成東駅からちばフラワーバス八街線に乗車し「川崎入口」下車、西へ徒歩約5分。バス停からお寺へは道しるべがあり、わかりやすい。
他の行き方としては、成東駅出口すぐ左手の観光案内所(山武市成東観光交流センター、さんむすび)でレンタサイクルを借りる。お寺までおよそ20分。
拝観は特に予約等の必要はないが、ご葬儀等の場合もあるので、直前に連絡し、来てほしいとのことだった。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれなど
宝聚寺は天台宗寺院。もと法鷲寺と称していたというが、お寺の歴史はよくわからない。
鎌倉時代後期から南北朝時代の作と考えられる釈迦如来像が伝来することと、近くで平安時代末期の蔵骨器が出土していることから、本来歴史ある寺院であったのだろうと推定される。
拝観の環境
釈迦如来像は境内の釈迦堂に安置される。堂内でよく拝観させていただいた。
仏像の印象
像高およそ60センチの坐像で、ヒノキの寄木造、玉眼。
「法衣垂下」と呼ばれる比較的珍しい形式の像である。
しかしこの仏像のユニークなところは、衣のひだのゆらめきである。体をおおう衣は縁がゆらめき、ひだ全体もゆらゆらとゆらめいてつくられている。腕から下がる衣は両膝の上をやっぱりゆらゆらとした曲線を描きながら、下がってゆく。台座の横手に垂下する衣はまっすぐには下がらず、あたかも勢いよくこぼれていく水のように斜め下へと垂れているのもとても面白い。
頭部は肉髻の盛り上がりは小さく、螺髪の粒は大きい。中央よりも側頭部の螺髪の方が大きくなっている。髪際はカーブして、中央が下がっている。
目は少しつり上がり、口はしっかりと引き締めて、やや厳しい表情をしている。ほおは張り、鼻は自然なカーブを描いて、全体として超越的というよりは人間的である。
ややなで肩で、腹のところで裙の結び目を見せ、その下で手をゆったりと合わせている。
衣は赤く塗られているが、これはベンガラだそうだ。肉身は金色で、いわゆる朱衣金体の姿をしている。
光背は後補だが、台座は本体と同時期だそうで、貴重である。
さらに知りたい時は…
「ほっとけない仏たち13 千葉・寶聚寺の釈迦如来坐像」(『目の眼』478)、青木淳、2016年7月
『房総の神と仏』(展覧会図録)、千葉市美術館、1999年