上町観音堂の十一面観音像
年1度、8月9日夜ご開帳

住所
印西市木下777
訪問日
2008年8月9日
拝観までの道
上町(かみちょう)観音堂は、 JR成田線の木下(きおろし)駅東南に徒歩5分強のところにある。 駅の南口の小さなロータリーから真っすぐ南へ150メートルほど行って左折し、そこからさらに250メートルくらい。
このお堂の仏さまは、年1度、8月9日に開帳される。20時から護摩を焚くそうで、その少し前から拝観できる。
開帳の時間に合わせて訪れると、大きな幟が立っているのが目に入る。地域の人も次々と訪れては、礼拝していく。
問い合わせ先は、印西市教育委員会(電話0476-42-5111)。
拝観料
志納
お堂や仏像のいわれ
このお堂はここからさらに東南にある三宝院というお寺に属している。本来、三宝院はこの場所にあり、現在地に移転後、このお堂のみ残ったとも伝える。
本尊は他の寺院から移されたものとも地域の有力者から寄進されたものともいうが、不詳である。
拝観の環境
お堂の中には明かりがともされ、またお堂の中に上げていただけて比較的近くで拝観できるが、残念ながら厨子中の安置のため暗く、細部まではよく分からない。
仏像の印象
像高約50センチの銅造の十一面観音像である。顔は大きく、またやさしい表情をしている。上半身は控えめで、腰はくびれをあらわし、下半身はがっしりと作るが、下肢はやや寸足らずの印象である。バランスはよいとはいえないが、子どものようなプロポーションにも見え、全体にかわいらしさを感じる。下半身の複雑な衣紋の動きはいかにも鎌倉時代の特色をあらわしている。背面の裳裾に鎌倉後期の1297年を示す銘文が刻まれているという。
持物(水瓶)やアクセサリー、台座は後補。また、すべての頭上面や垂下する天衣(てんね)も亡失し、この像が今日に伝わるまでの転変を物語る。また、本来鍍金されていたと思われる(肩や背面に鍍金の阿痕が認められるという)が、現状は後補の漆で黒く仕上げられている。
さらに知りたい時は…
『日本彫刻史基礎資料集成 鎌倉時代 造像銘記篇』15、中央公論美術出版、2019年
『ふさの国の文化財総覧』2、千葉県教育委員会、2004年
『千葉県の指定文化財』第4集、千葉県教育委員会、1994年