大國寺の伝薬師如来像
「一仏三身」の姿
住所
丹波篠山市味間奥162
訪問日
2016年4月30日
この仏像の姿は(外部リンク)
大國寺ホームページ
拝観までの道
大國寺(大国寺、だいこくじ)の最寄り駅はJR福知山線の丹波大山駅だが、徒歩1時間弱。最寄りのバス停は神姫グリーンバス「西古佐」だが、バスの本数は少ない。
一番行きやすい方法は、福知山線の篠山口駅東口からのレンタサイクルである。こぐスピードにもよるが、駅から西北方向、20分程度で着く。やや上り坂ではあるが、晴れていれば快適。
拝観料
800円
お寺や仏像のいわれなど
天台宗寺院。
紅葉の名所として知られ、また近年ではコスプレイヤーの方が撮影で訪れることも多いと聞く。
本堂は室町期の折衷様(複数の建築様式を合わせてつくられている)の建物。内陣に向かって右側から持国天像、大日如来像、中尊像、阿弥陀如来像、増長天像の順に5躰の古仏が安置されている。
拝観の環境
本堂は内陣部分が仕切られている。
横手から入れていただき、近くよりよく拝観させていただけた。
仏像の印象
中尊像はお寺では薬師如来像と伝え、また一仏三身像であるという。
姿は大日如来なのだが、阿弥陀の定印を結び、さらにその手の上に薬師仏の薬壷を置く。三如来の合体像ということなのであろうか。ただし手先は後補であるので、もとは胎蔵界の大日如来像としてつくられたものか。
像高は約120センチの坐像。ヒノキの割矧ぎ造。平安時代後期の作である。
箔がまだらになっているために表情はやや分かりにくいが、よく見ていくと、どっしりして堂々たる像、威厳ある像であることがわかる。
鼻、口は大振りに、ほおはとても充実し、冠や天冠台もしっかりとつくられている。腕も太く充実して、衣のひだもしっかりと彫り出されている。
台座も当初のもの。
他の4像について
大日如来像、阿弥陀如来像は、中尊像に比べて華奢な印象がある。
持国天像、増長天像は一木造で、像高は約150センチ。本来は中門に安置されていたと伝える。平安時代中期ごろの作であろうか。
基本的に左右相称の姿勢につくられているものの、持国天は口を開け、腕など動きを強く表現し、増長天は口を閉じ、どちらかというと動きが少なく、落ち着いた印象をみせる。額のかたちや鎧の意匠も少しずつ異なりを見せていて、面白い。
さらに知りたい時は…
『ふるさとの仏像をみる』、内田和浩、世界文化社、2007年
→ 仏像探訪記/兵庫県