中山寺の十一面観音像
毎月18日に開扉
住所
宝塚市中山寺2丁目11-1
訪問日
2008年5月18日、 2017年6月18日
拝観までの道
中山寺(なかやまでら)は、阪急宝塚本線の中山観音駅北口下車すぐ(JR宝塚線の中山寺駅からは徒歩約15分)。
本尊は秘仏の十一面観音像で、毎月18日に開扉される。
拝観料
志納
お寺のいわれ
安産祈願の寺として名高く、また参道の左右に5つの塔頭が並ぶ大きな寺院である。
古代の創建だが、本堂は豊臣秀頼の再建。
阪神淡路大震災で被災後の修築、改築の一環として本堂までエスカレーターも設置された。エスカレーターを備える寺というのは珍しいと思うが、安産祈願に訪れる妊婦さんなどにとってすぐれた配慮と思う。
拝観の環境
堂の扉口からの拝観。お像まで距離があり、よく拝観するのは難しい。
仏像の印象
本尊は平安前期の作。カヤの一木造、素地仕上げ。像高約150センチの立像。
瞳は鋲(びょう)であらわし、長い体躯、まゆと眼の曲線、衣の文などからは強い印象を受ける。異国的な雰囲気も感じるきわめて個性の強い像である。
本尊の左右には鎌倉時代の十一面観音(像高約1メートル)が侍し、右脇侍の足ほぞに1244年、快成作という銘がある。この3体をあわせて33面となり、観音が33の姿に形を変えて衆生を救うという数に通じるというが、こちらもよく見るのはなかなか難しい。
その他1(寺宝展示室について)
本堂に向って左に進むと信徒会館があり、その2階が寺宝展示室となっている。大日像、薬師像、聖徳太子像など、中山寺に伝わる古代から近世の彫刻などが集められているが、公開日は限られており、春と秋の数日の「寺宝展」の時だけである。
筆者は2017年6月、西国三十三所の特別拝観として展示室の公開が行われた際に拝観することができた。展示室はなかなか立派で、桃山時代につくられた聖徳太子像が堂々として印象深かった。
その他2
山門および仁王像は江戸前期(17世紀なかば)につくられたもの。近年仁王像は修復され、鮮やかな色がよみがえった。
その他3
本尊のレプリカが姫路市にある兵庫県立歴史博物館の常設展示室「ひょうごのあゆみ」の中で展示されている。
さらに知りたい時は…
『続 古佛』、井上正、法蔵館、2012年
『檀像』(『日本の美術』253)、井上正、至文堂、1987年6月
『宝塚市史7・別編1』、宝塚市、1980年
「中山寺と相応峯寺の十一面観音像」(『Museum』248)、鷲塚泰光、1971年11月