橋寺放生院の地蔵菩薩像
つややかで美しい像
住所
宇治市宇治東内11
訪問日
2010年10月17日
拝観までの道
橋寺(はしでら)は京阪宇治駅から徒歩5分。宇治橋のすぐ近くにある。
法事が入っている等で拝観できないこともあるので、電話をしてうかがう方が無難。
拝観料
300円
お寺のいわれ
寺伝によれば飛鳥時代に創建され、常光寺地蔵院と称したという。
鎌倉時代に叡尊が再興、また叡尊は宇治橋を新たに架け直し、また、この地で放生会(ほうじょうえ)を行ったという。そののち、この寺が宇治橋の管理を任されたので、橋寺と称するようになったそうだ。
拝観の環境
本堂内は明るく、近くからよく拝観できる。
仏像の印象
本尊、地蔵菩薩像は190センチをこえる大きさの立像。壇、台座の高さも加わるので、近くに寄ると見上げるようになる。長身でスタイルよく、力強さと優美さ、親しみやすさを合わせ備えて、すばらしい像である。
ヒノキの寄木造、玉眼。鎌倉時代の作。
つややかな顔とあざやかに彩色された衣も美しい。衣は上半身でたるみや折り返しを多用し、装飾的である一方、下半身では襞(ひだ)が太くなって、力強い。
横から見るとぐっと前傾姿勢をとっていて、いかにも救済に向う姿であると感じる。
寺が叡尊によって再興された時につくられた像と考えられている。
このほか本堂内の安置仏には次の像がある。
平安時代の不動明王はバランスよい名像。片目をすがめ、口は強く結んで牙をだす通有の姿だが、味わいある顔つき。
室町時代という釈迦如来坐像は衣を通肩に着て、頭髪は螺髪でなく縄を巻いているようにあらわされているが、これは清凉寺式釈迦像を坐像であらわしたものとわかる。例がないわけではないが、珍しい。
また、南北朝時代という8臂の弁財天像なども安置されている。
その他
橋寺境内に「宇治橋断碑」が安置されている。古代の碑の一部(上部のみ、下部は江戸時代に補っている)で、宇治橋架橋のいきさつを書く。拝観は3〜6月と9〜11月のみで、200円。
京阪宇治駅近くに「東屋(あずまや)観音」と呼ばれる石仏がある。駅前のロータリーを出て左へ、すぐ。名前の由来は、ここが源氏物語宇治十帖の「東屋」ゆかりの場所であるからという。
鎌倉時代の石造観音菩薩坐像で、1メートルをこえる堂々たる像。大きな頭部に小さめの冠をつけ、片手には開いていない蓮華を持ち、もう片方の手はそれに近づける。肉厚に彫られ、見ごたえある石仏と思う。宇治を訪れた際には、ぜひお立ち寄りを。
本来そこより西南20メートルほどのところにあったが、宇治橋の架け替えや道路の拡張によって移されて来たものだそうだ。
さらに知りたい時は…
『TV見仏記』3(DVD作品)、京都チャンネル、カルチュア・パブリッシャーズ、2004年
『宇治の佛たち』、宇治市歴史資料館、1989年