廬山寺の阿弥陀三尊像
来迎の姿
住所
京都市上京区寺町通り広小路上る北之辺町397
訪問日
2018年8月11日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
廬山寺(ろざんじ)は京都御所の東で鴨川との間、寺町通に面している。
最寄り駅は京阪電車の終点、出町柳駅で、西南へ徒歩約15分。
バスでは京都駅前より市営バス4号(上賀茂神社行き)で「府立医大病院前」下車。
拝観料
500円
お寺や仏像のいわれなど
10世紀、比叡山の良源によって京都北山につくられたのがはじまりといわれる。現在地に移って来たのは16世紀だそうだ。
かつてこの場所には紫式部の曾祖父が屋形をかまえたそうで、彼女もここで育ち、亡くなったと考えれている。現在廬山寺の庭はこのことを踏まえて、「源氏庭」として整備されており、夏場は紫の桔梗が咲いて美しい。
拝観の環境
庭に面した本堂の本尊が、平安末期から鎌倉初期にかけての阿弥陀三尊像である。
外陣からの拝観のため距離があり、また堂内はやや暗い。一眼鏡のようなものがあるとよい。
仏像の印象
像高は中尊が約1メートル、脇侍が65センチ。いずれも坐像。中尊が寄木造、脇侍は割矧ぎ造でつくられている。材はヒノキ。
中尊は来迎印、脇侍は大和座りをした来迎の三尊形となっている。観音菩薩が蓮台を捧げ持つのは通例だが、珍しいのは勢至菩薩が合掌でなく、左手を上、右手を下に構えている(蓮華の柄を持っている)ことである。本来は阿弥陀仏に(あるいは臨終者に?)さしかける傘の柄を持っていたのかもしれない。
中尊は丸まるとした顔立ちで、目鼻が整い、衣も美しく流れて、定朝様の様式をよく継承する。しかし胴を絞り、体に張りがある様子は、鎌倉時代に入ってからの作かと思わせる。
脇侍も胴を絞り、天衣を肩から外す。正面からでは分からないが、写真で見ると、天衣は後ろになびき、衣の裾も風をうけている表現をとっていて、一直線に臨終者のもとへと駆けつけているさまをあらわしている。
さらに知りたい時は…
『月刊文化財』645、2017年6月
『京都の美術工芸 京都市内編』下、京都府文化財保護基金、1986年